若山騎一郎が語った父・富三郎と叔父・勝新太郎の背中〝ふと見えても足跡すらなくなってしまう…〟
東スポWEB / 2024年9月9日 11時33分
俳優の若山騎一郎(59)が、舞台「時は今 天が下しる 桔梗かな」(11~15日=東京・渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール)に出演する。稽古が終わると父・若山富三郎さん、叔父・勝新太郎さんの芝居を見て鍛錬を積み、24時間芝居漬けの日々を過ごしている。
明智光秀をめぐる物語で、若山は明智家の有力家臣・斎藤利三を演じる。父・富三郎さんは徳川家康、叔父の勝新太郎さんは豊臣秀吉と、光秀とは対抗勢力だった偉人たちを時代劇ドラマで演じた。だからこそ稽古でも父と叔父が頭をよぎるようで「この2人に毎日歯向かっているみたい。芝居が終わって家に帰ったら必ず富三郎さんの作品を見て、勝新太郎の作品を見て…。今、久しぶりに24時間芝居漬けになってる(笑い)」と明かした。
芝居を通していざ2人と“対峙”すると、両者のすごみが痛いほどわかる。「寝てても芝居の夢を見る」ほど稽古に打ち込んでも、背中はとにかく遠いという。「稽古中にふと背中が見えても、次の瞬間にはその背中がなくなる。雪景色の中に足跡はあるんだけど、しんしんと降り積もる雪で足跡がなくなっちゃうんだよ」と小さくため息をついた。
それでも舞台に立つと決めたならやるべきことは一つで、自身の芸を丁寧に磨き、足を運んでくれる観客へ100%の芝居を見せるのみだ。
「役者って儚(はかな)いんです。来てくれたお客さまが楽しむのはわずか一瞬で、次の週になっても『あの芝居良かったね!』とはならない。それでも誰のためでもなく記憶に残らなくても良いから、俺の芝居を見た人がほっとしてくれて、幸せを感じてくれたらそれでいいんです。舞台を見てもらうということは、お客さまが1枚のチケットを買って交通費を出して都合をつけて来てくださるということ。その大事な時間を買ってくれた人が、幸せだなって思ってもらうのが、俺たちの仕事だよ」
2013年には覚醒剤取締法違反容疑で逮捕され、翌年に有罪判決を受けた。15年に活動再開し、昨年末にはNHKの時代劇ドラマ「大岡越前スペシャル~大波乱!宿命の白洲~」で約10年ぶりにテレビドラマ出演を果たした。そして今回の舞台だ。「こんな俺を必要としてくれた。どこに出しても恥ずかしくない、高級でそして極上な舞台です」と力を込めた。
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