声優・篠原恵美さん死去 呼吸器つけて車イス…それでも周囲に「自分の心配をしなさい」

亡くなった篠原恵美さん

テレビ朝日系「美少女戦士セーラームーン」シリーズのセーラージュピター（木野まこと）役などで知られる声優の篠原恵美（しのはら・えみ＝本名渡邉恵美子）さんが８日に死去していたことが１０日、明らかになった。６１歳だった。関係者によると、篠原さんは温かい人柄で知られ、早すぎる死を惜しむ声が上がっている。

テレビ東京系「ＮＡＲＵＴＯ―ナルト―疾風伝」のうずまきクシナ役など、多くのキャラクターの声を担当。主要キャラを輝かせる名バイプレイヤーとして、数々のアニメの人気を支えた。

生前、篠原さんと親交のあった声優は「とにかく優しい人ですよ。大人の女性や男勝りなキャラを演じることも多かったですが、感情的になったところは見たことがなかったね」と話す。

穏やかな性格を買われて、晩年は所属事務所「８１プロデュース」の養成所や洗足学園音楽大（川崎市）の声優アニメソングコースなどで講師を担当。後進の育成に熱心に取り組んだ。声優業界関係者の話。

「厳しいレッスンを行う先生もいますが、篠原さんは受け持った生徒に一貫して優しかったですね。メンタルの不調でなかなかレッスンに来られない生徒にも３年間、辛抱強く声をかけ続け、大きな舞台に立たせてあげたこともありました」

今のアニメ業界には、〝篠原先生〟の教えを受けてデビューを果たした声優も多いという。

前出関係者によると、体調が悪化したのは１年ほど前。手足の骨折などがあり、杖をついて歩いた時期もあったようだ。

「今年春～夏にかけてさらに病状が悪化し、呼吸器を付けて車イスに乗っていました。それでも生徒のためにレッスン場に足を運んでいましたよ。心配する生徒に『自分の心配をしなさい』と笑顔を見せ、いつもと変わらずに背中を押し続けました」（同）

訃報のあった１０日、夫で俳優の渡洋史（６１）はＸ（旧ツイッター）で「思い返せば楽しい２６年間でした。ありがとう 安らかに 応援頂いた皆様ありがとうございました」と追悼。観覧車をバックにデートを楽しむツーショット写真を添えた。

アニメファンだけでなく、多くの関係者や後輩からも愛された。