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NPBに公取委が警告 代理人に関する規定が独禁法違反と指摘も一部ではすでに形骸化

東スポWEB / 2024年9月21日 5時9分

山川穂高のFA移籍には弁護士資格を持たない人物が絡んでいた…

公正取引委員会は19日に「日本プロフェッショナル野球組織(NPB)」に対し、独占禁止法に違反するとして「警告」を行った。

これまでNPBは構成するプロ野球12球団に対し、選手が契約交渉などを行う際の代理人について「弁護士」に限定。加えて代理人が選手1人と契約した場合には、他の選手との契約を認めていなかった。

これにより選手は、日本の弁護士資格を持たない海外の代理人との契約ができなかった可能性があるという。さらには他の選手と契約していた代理人を選任できなかった可能性についても、公取委側は指摘している。

事態を把握した公取委は今年8月から調査を開始。指摘を受けたNPBは9月2日に、こうした事態を取りやめる旨を決定した。

これらの行為について公取委は「独占禁止法第8条4号の事業者団体による構成事業者の機能または活動の不当な制限の禁止に該当する」と認定した上で、当該行為はすでに是正されていることから法的措置を見送り、今後同様の行為を行わないよう「警告」した。

これは1999年8月の労使交渉で「弁護士有資格者に限る」という条件付きで、代理人の同席を認める答申が出され、翌2000年のシーズンオフから代理人制度の運用が始まった当時の条件の見直しを指摘されたもの。特に選手の権利拡大を目指す日本プロ野球選手会にとっては大きな前進となった。しかしながら翻って国内で億の年俸を稼ぐトッププレーヤーや過去にMLBに移籍、または現在目指しているトップの選手にとっては何年も前からこの条件が一部で形骸化してしまっているのも事実だ。

米国の有力代理人が日本国内に事務所を構え、または大手の国内マネジメント会社とタッグを組み複数選手の国内契約にかかわっているパターンもある。一方では弁護士資格を持たない日本人が直接、複数の有力選手を抱えて巨額契約を締結した例などもあり、すでに枚挙にいとまがない。

直近でいえば昨オフのソフトバンク・山川(4年総額12億円プラス出来高)、一昨年の同・近藤(7年総額50億円)が後者の例に当たり、当該の〝代理人〟は14年にも金子千尋(4年総額20億円プラス出来高=現日本ハムファーム投手コーチ)のオリックス残留交渉に関わっている。

すでにNPBの代理人交渉には「条件」とされていた弁護士資格もない日本人代理人が球界に大きな影響力を持ってしまっているのが実態だ。

日本球界に近いMLB関係者は「日本の場合、選手が『この人が代理人です』と言えば代理人になってしまう例が多い。今回の『警告』を受けて最低年俸周辺の若手や中堅選手のどれくらいが『代理人を雇おう』と思うのか…。この件で一番喜んでいるのはトップ選手の巨額契約を扱う既存の代理人達ではないか。今までもなかった弁護士資格が公に必要なくなったわけですから。とりわけメジャーの〝青田狩り〟はより一層強化されていくと思う」と日本球界に警鐘を鳴らしている。

公取委からの「警告」は一歩間違えば、日本球界がMLBの〝草刈り場〟となりかねない危険性もはらんでいると言えそうだ。

(前出選手の契約額はいずれも推定)

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