【巨人】菅野智之はなぜ復活&進化できたのか 「歯がゆい思いあっただろうけど…」前田幸長氏が解析
東スポWEB / 2024年9月29日 6時13分
4年ぶりリーグ優勝を遂げた巨人の投手陣の大黒柱・菅野智之投手(34)は今季24試合に先発し、セ・リーグトップの15勝をマークした。長い低迷期を経て不死鳥のごとくよみがえった右腕を、本紙評論家の前田幸長氏は「全盛期よりスケールアップした」と太鼓判を押した。
【前田幸長 直球勝負】正直なところ、ここまでの復活を果たすとは恥ずかしながら予想していなかった。開幕前は「1年間、先発ローテーションを守ってくれれば…」と期待していたが、ふたを開けてみればハーラートップの15勝。いい意味で予想を裏切られましたし、慎之助(監督)にとってもうれしい誤算だったと思う。
春季キャンプで菅野を見た時のことを思い返せば「相当体をつくり込んできたな」という印象だった。年齢を重ねるごとに選手の体は少しずつデカくなっていくところを、キュッと締めたような絞り方。これは食事面も含めて、フィジカル面のトレーニングで相当な追い込みをかけたんだなと目に見えて分かった。
30代半ばにしてのフィジカルトレーニングというのは本当に大変で、年々体力が垂れていく中で、どこまで自分を追い込んでいいのか。どこで打ち止めにするべきなのか、練習量の線引きが非常に難しい。そんな中で1年間、限界まで戦い抜く体をもう一度つくり直したというのは執念だろう。
真っすぐとスライダー主体の投球スタイルからフォークも取り入れたニュースタイルに変わったことも大きいと思う。体をつくり直したことで直球の強さも全盛期に戻ったし、今年はフォークの質がさらに高まったことで引き出しが広がった。これまでも投げていなかったわけではないけど、空振りを取れるフォークになったことで投球の幅はかなり広がったね。
心に余裕が生まれたことも大きい。これまで長らくエースと言われてきた中で、今季はその座を戸郷に譲る形となった。当然、歯がゆい思いはあっただろうけど、自分の中で納得して「自分は自分の仕事をする」「戸郷を支える」というマインドに切り替えられたように見える。
それによって気持ちにゆとりができたことはもちろん、自分の投球に自信を持てるようになったことで試合中の視野が広がり、自分の投球以外にもチーム全体により目がいくようになったんじゃないかな。守備位置の指示をしたり、後輩の大城卓にゲキを飛ばしたのもその表れではないか。
いずれにせよ、今季の菅野は全盛期よりスケールアップしたと言っても過言ではない。来年大崩れするとも思えないし、若きエース・戸郷と並んで頼もしい「Wエース」誕生と言いたい。(本紙評論家)
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