坂口征二UN王座奪還 反則まみれのシークを怒りのブレーンバスター葬
東スポWEB / 2024年9月29日 11時13分
【昭和~平成スター列伝】前回は高千穂明久(後のザ・グレート・カブキ)初のUN王座奪取について触れたが、同王座は日本プロレスで“燃える闘魂”アントニオ猪木、“世界の荒鷲”坂口征二が戴冠した看板ベルトだった。
猪木が71年3月にジョン・トロスから王座を奪取したのを皮切りに、猪木の日プロ離脱後は坂口が72年2月にキング・クローから王座を奪取。3度の防衛を重ねるも、同年9月6日田園コロシアムで、鳴り物入りで初来日を果たした“アラビアの怪人”ザ・シークに敗れ王座を失う。この試合はシークがボールペンで坂口の顔面をメッタ突きにして大流血させる乱戦となり、最後はシークが凶器攻撃、顔面への火炎攻撃で王座を強奪した。
坂口はシークとは米国遠征時に遺恨戦を展開しており、手の内は分かっていた。翌日の9月7日大阪ではさっそくリマッチが組まれ、怒れる荒鷲がストレート勝ちで王座を奪還。本紙は1面で詳細を報じている。
「UN選手権リターンマッチは血しぶきが上がる大死闘となったが、坂口が豪快無双のブレーンバスター(脳天砕き)でシークを沈め、タイトル奪還に成功した。荒れ狂うシーク。ゴング後、10秒で両者血だるまとなり、レフェリーの注意を無視して凶器を振るい続けたシークが1本目、反則負け(4分22秒)。2本目、坂口は凶器のボールペンをへし折ると、シークを場外のエプロンに叩きつけ、上がってくるところをエプロンから引き抜くようにブレーンバスター。シークは血しぶきを上げて脳天からキャンバスにのめり込み大の字に。坂口は上四方固めで押さえ込んでタイトルを奪還(3分0秒)。シークの王座はわずか24時間だった。何一つ技らしい技はなかったが、観客を震え上がらせた点ではシリーズ最高の試合だった」(抜粋)
BI砲抜きの日プロでエースとして奮闘を続けた坂口は、米国から凱旋帰国した高千穂とのコンビで10月のNWAタッグリーグ戦で優勝。前年は猪木と組んで優勝しており、2連覇となった。
UN王座は4度の防衛を重ねた後、73年3月2日横浜で“妖鬼”ジョニー・バレンタインに王座を奪われる。しかしこの時点で新日本プロレス移籍はすでに決まっており、坂口最後の日プロ大会となった3月8日栃木・佐野では、高千穂がバレンタインを撃破して初戴冠を果たした。
結局、日本プロレスは4月に崩壊。高千穂も全日本プロレスへ移籍してそれぞれ別の道を歩むことになる。大混乱を極めた日プロ崩壊劇は、様々な人間模様が交錯するドラマも生んでいる。
(敬称略)
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