【ザ・グレート・カブキ連載#23】天龍源一郎「SWS」始動も…危うさを加速させた〝制度〟
東スポWEB / 2024年9月30日 16時14分
【ザ・グレート・カブキ 毒霧の真実(23)】1990年5月、人気絶頂の天龍源一郎をエースにしたメガネスーパーによる新団体「SWS」の設立が発表となり、同年10月18日に旗揚げ戦を行いました。天龍から相談を受けていた自分も参戦を決意し、ジャイアント馬場さん率いる全日本プロレスを退団。旗揚げ戦から合流することになります。
しかし、新団体の内情は最初から「もろさ」を伴っていたんです。思うに、選手は最初にしっかり選抜しないとダメなんですよ。“誰も彼も”ってやっちゃうと金ばっかりかかって文句が出てくる。何が言いたいかというと、SWSは、スタートから「烏合の衆」だったってことです。所属選手に「天龍の下にいれば大丈夫だ」っていう認識が共有されていなかった。要は「俺が俺が」って選手が多すぎたんです。
選手は基本的にメガネスーパーの田中八郎社長が集めていました。社長自らレスラーに声をかけたり、売り込みに来た選手を採用したり…。それはいいんだけど、売り込んできたヤツ、誰でも入れちゃったんですよ。だから最初から全くまとまりがなかった。「新しい会社でやってやるぞ!」っていう意欲のあるヤツもいるにはいたけど、それ以上に「メシが食えればいいや」みたいなヤツが多くて…。まあ、金があったからこそですよ。
そんな中で自分はマッチメーカーを任されました。天龍に「カブキさん、やってよ」って言われたから「まあ、いいよ」って。でも本当に大変でしたよ。そんな経緯で集まった選手たちだから「こいつ、全然仕事ができねえな」みたいなひどい選手もいたんです。そいつらを1大会で全部出すのは無理な話じゃないですか。それで「今日はコイツを使ってコイツは使わない」みたいにせざるを得ない。すると今度は「カブキは〇〇をかわいがってる」とか言い始めるのがいるんですよ。
始動したばかりなのに危うさを加速させてしまったのが「部屋制度」でしたね。田中社長の発案で、相撲のように「レボリューション」「道場・檄」「パライストラ」と部屋制に分けることになったんです。発想自体は面白かった。だけど、肝心の中身の選手が…。結局これが“派閥闘争”の温床になっちゃったんですよね。だからマッチメークは大変でしたよ。「対戦カードがレボリューションに偏りすぎだ」とか。あーだこーだ、いろいろ言われました。
それでそいつらに「フザケンな、じゃあテメエらでやってみろ」ってメインの試合を任せたらあまりにもひどい試合をしてお客さんが途中で帰っちゃうんだから…。このころからですよ、ストレスで円形脱毛症やら湿疹やらが出たのは。人生経験になった? あんな経験、クソの役にも立たないよ!!(笑い)
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