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【菊地敏幸連載#45】「伊藤隼太1位で行く」ドラフト前最後の会議で通告

東スポWEB / 2024年10月1日 11時8分

11年ドラフト1位で入団した伊藤隼太(前列右)は発表会見で和田監督(中)らと記念撮影

【菊地敏幸 辣腕スカウトの虎眼力(45)】2011年ドラフトで阪神は慶大・伊藤隼太外野手を単独1位指名で獲得することになりました。ただ、私は1位指名候補に東海大甲府の高橋周平を推していました。

ある球団幹部は伊藤隼太にほれ込んでいました。当時の南信男球団社長が慶大出身ということもあり、忖度していたという背景もあったとは思います。南社長自身はそこまでではなかったのですが、球団内の流れとしても伊藤推しとなっていました。

それでも、私はプロのスカウトです。この目で見て、高橋周平を1位でいかなければいけないと、チームの将来のために競合覚悟で指名すべきだと信じていました。周りの雰囲気に流されず、自分のほれた選手を推さなければいけません。

そんな中、ドラフト前日、最終の編成会議が開かれました。伊藤の1位指名を固めていた球団幹部は会議の冒頭で「明日のドラフト会議では慶応大の伊藤隼太外野手を1位指名でいきます」となるわけです。

それまでも高橋周平を推していた私に対しては口封じのような状況です。会議の司会役だった球団スタッフも、ドラフト1位は伊藤であることを前提で会議を進めていきます。

私は「会議で話し合う余地はないの?」と抵抗します。それでも「伊藤隼太で1位はいきますが、抽選になってハズした場合は誰を候補にしますか」という話になり、もうブチギレてしまいました。

「どこの球団も(ドラフト1位では)いくわけない。何を考えているんだ。3位でも4位でも獲れるんだ。こんなの時間の無駄だ」と言ってふんぞり返ってしまいました。

会議の司会を務めていた球団スタッフは「菊地さんを怒らせちゃったなあ」という雰囲気で困った顔をしていました。

私が水面下で調査したところによると、巨人は伊藤隼太をドラフト5位指名候補でリストアップしていたそうです。

8月に阪神二軍と慶大がENEOSのグラウンドで交流戦を行った際には当時の慶大・江藤省三監督と直接、お話もしました。その時、監督から「阪神は伊藤隼太の評価、高いよなあ」と話しかけられました。

こちらとしてもチームとして高評価を公言しているわけです。私も伊藤のことを悪く言うわけにもいきません。これは伊藤隼太がどうこうという問題ではないんです。彼は自分のやるべきことをグラウンドでしっかり表現するだけ。評価をするのはスカウトであり球団ですから。

阪神のドラフト1位というのは重圧のかかる立場です。いざ、ドラフト指名がかかれば関西のスポーツ紙の見出しは伊藤隼太一色になります。生い立ちから始まりご両親への取材から、恩師への取材、一挙手一投足を掘り下げられることになります。

伊藤隼太は無事にドラフト1位で阪神から単独指名を受け、契約金1億円プラス出来高5000万円、年俸1500万円(金額は推定)という条件で入団しました。同じ愛知県出身ということもあり背番号はイチローと同じ51番に決まりました。次回ももう少し伊藤隼太の話を続けてみたいと思います。

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