【佐藤優コラム】「全世界を敵に回してでも戦い、生き残る」イスラエルのレバノン侵攻を考える
東スポWEB / 2024年10月3日 14時9分
中東情勢が緊迫している。一歩間違えると第三次世界大戦に発展しかねない。1日午前、イスラエル軍が北隣のレバノン領内で限定的な地上作戦を開始した。イスラエルに敵対するイスラム教シーア派組織ヒズボラを軍事的に無力化することが目的だ。
ヒズボラを支援しているのがイランだ。1日夜、イスラエルに過去最大規模のミサイルによる攻撃を行った。米国防総省によるとイランは約200発の弾道ミサイルを発射した。もっとも一部はイスラエル領内に着弾したが、そのほとんどはイスラエル軍と米軍によって撃退されたようだ。イスラエルは、イランが地上軍を用いて本格的に軍事介入してくることはないと見ている。
その根拠は、イスラエルがイランの核開発施設の所在を把握し、それを破壊する能力を有しているからだ。イスラエルはこの事実をさまざまなチャネルでイランに伝えている。
他方、イランが核開発施設の保全よりもシーア派同胞であるヒズボラを守るという選択が完全に排除されているわけではない。イランが地上戦に介入した場合、イスラエルは国家存亡の危機に立たされる。
その場合、米国がどう対応するかが鍵になる。米国はイスラエル国家と同国に住むユダヤ人を擁護するために、地上戦に踏み切ると筆者は見ている。そうなると第三次世界大戦の火蓋が切られる可能性がある。世界大戦だけは何としても避けなくてはならない。
イスラエルは、諸悪の根源はイランにあると考えている。イランはイスラエル国家を地図上から消滅させることを本気で考えている。レバノンのヒズボラも、ガザのハマスも、イエメンのフーシー派も、イランの支援がなければ反イスラエル活動を継続することができない。今回、イスラエルは、イランの核開発能力破壊というカードを切って、ヒズボラ、ハマス、フーシーの戦闘力を壊滅させるという賭けにでた。「全世界に同情されながら死に絶えるよりも、全世界を敵に回してでも戦い、生き残る」というのがイスラエルの国是だ。イスラエルに圧力をかけ、イスラエル国民の孤立感を強めることは逆効果だ。
イスラエルが核保有国であるという現実を忘れてはならない。国際社会がイスラエル国家とその地に住むユダヤ人の生存権に保障を与えることが急務だ。
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