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採血だけでできるイヌのガン検査 進行が早いので早期発見が重要 開発医師に聞く【前編】

東スポWEB / 2024年10月6日 10時19分

イヌのがんの早期発見が可能に

イヌの寿命は人間より短く、飼い主より先に亡くなる愛犬が多い。またイヌは、がんで死ぬ割合が人間より多く、人間より進行が速いので気付いた時は手遅れということも多くなる。そこで簡単に受けさせられるイヌのがん検査が始まっている。採血だけなので定期的に検査すれば、がんを早期発見できるという。検査法を開発した医師に話を聞いた。

【必要性は人間より高いが検査するイヌは少ない】

がんで亡くなる人は多いようだが、死因に占める割合は27%ほどだ。イヌは死因の54%ががんだとされる。しかも進行スピードが速く、人間の5~7倍ほどと言われる。

イヌでもがんは転移する。転移すると手の施しようがなくなることが多いため、早期発見して外科手術などを行う必要がある。人間でも言われる早期発見は、イヌでは数倍の重要性を持つ。

「人間のがん治療では、5年生存率などの数値がポイントにされます。しかしイヌでは5年など意味がなく、悪性の腫瘍にかかればほぼ1年と持ちません。早ければ3か月ほどです」と説明するのはメディカル・アーク(東京都小金井市)伊藤博社長だ。たったスプーン1杯の採血からイヌのがん検査ができる早期診断システムを開発したバイオベンチャーである。

イヌは言葉を話さないうえ、人間のように定期健康診断が普及していないため、がんが大きくなってから、様子がいつもと違う、体調が悪そうだ、と動物病院に行ってようやく発見されることが多い。従来のイヌのがん検査は、がんのマーカー物質による人間のような検査ではなく、麻酔などをしないと受けられないCTやMRIなどによる画像診断が用いられている。

精密に判定できるCT検査だが、イヌは動き回るので全身麻酔処置が必要になるなど検査すること自体が大変だ。一般の動物病院ではCTなどは整備されていないことも多く、エコー検査、X線検査や触診などによるため早期発見が現実的にかなり困難だった。

【気付いてあげられなかったと後悔しないために】

こうした事情から、いざイヌががんと診断されたときには既に手術ができない段階であったり、もはや治療効果が見込めないような進行状況だったりすることが多くなるのだ。飼い主は「気付いてあげられなかった」と大きな後悔を抱いてしまう。

これに対し同社が開発したのは、わずかに採血するだけでイヌに対して負担が少ない検査法だ。がん細胞から分泌される血液中のマイクロRNAを解析する。

マイクロRNAとは、細胞から分泌される小さな顆粒状の小胞であるエクソソームに含まれる情報伝達物質である。血液中のマイクロRNAの分析は、がんを検出して初期段階のがんの種類を特定することができる世界注目の最先端技術。判定の感度が高く、がんの早期発見が可能だ。

伊藤社長は「イヌには7歳前後でがん検査を受けることを推奨しています。人間でいえば30代後半から40歳ちょっとといった年代ですね」と言う。イヌでも早期治療が可能になれば、根治する確率が大幅に高まる。

しかも、この検査でがん細胞からのものだと特定されたマイクロRNAが発見されると、以後の手術や治療の後にそのマイクロRNAをマーカーとして治療効果を検査することが可能になるので、その後の治療の有効性を高めることができる。

次回は、検査の内容について聞く。

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