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マンホール蓋の知られざる〝裏側〟「踏んでいくものではありますが…」製造メーカー社員の思い

東スポWEB / 2024年10月6日 10時19分

近年は蓋の写真を掲載した「マンホールカード」も流行。ファンの中には、水と洗剤を持ち込み、表面をきれいにしてから撮影する人もいるという。ありふれた公共設備だった蓋は、今や鑑賞の対象となりつつあるようだ。

一方で大雨や事故の度にマンホールの危険性が報じられてしまうことも多いが…。井上氏は近年の蓋には丁番やカギを取り付けていると説明する。強い内圧が働き開いてしまっても、蓋のみが飛んでいくことがないように設計しているというのだ。加えて万が一、穴に落ちてしまっても脱出できるよう、内側にはしごを設置する場合もあるという。

半面そのような機能が備わっていない古い蓋が事故を起こしてしまうのも事実だ。8月に新宿駅前のマンホール蓋が吹き飛んだ事故に関しても、「あれほど古い蓋が都心に残っていたことが驚きだった」と3人は口を揃える。業界団体では、日本に約1600万基あるとされているマンホールのうち、約350万基が吹き飛んだ後の転落や摩耗によるスリップ等、何らかのリスクを抱えていると推測。耐用年数を過ぎた蓋の交換を呼びかけているが、交換ペースが追いつかないという点は、メーカーとしても悩みの種だという。今後他の水道設備も含めて、老朽化が問題となることは明白。井上氏は「マンホールを起点にして、下水道について考えてもらえるとうれしいですね。当たり前のような存在になっていますが、決して当たり前ではないので。多くの方に興味を持っていただけると風向きも変わるかな、と」と打ち明けた。

取材の最後に金子氏は「蓋に1つ穴を開けるだけでも大変な手間がかかるので。踏んでいくものではありますが、優しく扱ってほしいですね」とのこと。福島氏も「昔は木型を作るにも、職人さんが2週間かけていましたから。1つの鋳物ではありますけど、作り上げるまでの作業員の思いが詰まった芸術です」と思い入れを語った。安全とデザイン、両面にこだわりが詰まったマンホール蓋。そのそばを通っている上下水道にも思いをはせながら、時には“下を向いて歩いてみる”というのはいかがだろうか。

☆ながしまいものかぶしきがいしゃ 埼玉県川口市に本社、同久喜市に事業所を置く鋳物の製造会社。現在は生産物の9割以上をマンホール・止水栓等の蓋が占めている。全国各地に上下水道のマンホール設備を供給するほか、現在は樹脂で着色したカラーデザイン蓋、画像を印刷したシールを貼り付けるプリントシール蓋も展開している。

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