アスリートの誹謗中傷問題 専門家はネットリテラシー欠如に警鐘「嫌だったらSNSは使わない」
東スポWEB / 2024年10月8日 6時6分
今夏のパリ五輪で日本勢は海外開催の大会で過去最多となる20個の金メダルを獲得した一方で、選手に対する誹謗中傷が大きな問題となった。一般人だけでなくアスリートも当たり前のようにSNSを使用する現代社会において、どのような対策が求められるのか。専門家の見解は――。
五輪期間中、SNS上では活躍したアスリートへの賛辞だけでなく、不本意な結果に終わった選手への批判も相次いだ。金メダルが期待されたバレーボール男子代表は準々決勝でイタリアに2―0から逆転負け。西田有志(大阪ブルテオン)と小野寺太志(サントリー)に対しては名指しで中傷する投稿もあった。
これには日本協会の川合俊一会長も「いわゆる『誹謗中傷』を見過ごすことはできません」と懸念を表明する事態となった。アスリートに対する〝攻撃〟はバレーボール以外の競技でも発生。日本オリンピック委員会も、行き過ぎた内容に対しては警察への通報や法的措置を検討する方針を打ち出している。
この問題について、危機管理コミュニケーションに詳しい東北大学特任教授の増沢隆太氏は「東京五輪以上に誹謗中傷が多かったのは、ここまでSNSが広がったので、炎上することが日常化してしまったから。SNSは都合のいい情報ばかりを発信して済むものではない。誹謗中傷は来るものと想定して対応するべき。特に今のX(旧ツイッター)は無法地帯化しているので、選手が自らそこに飛び込めば、ネガティブな反応も直接返ってくる」と指摘する。
その上で「誹謗中傷が嫌だったら、そもそもSNSは使わない。極論だが、自分がSNSで発信しなければ、中傷に接することも避けられる。そうしたネットリテラシーが選手や各協会に欠けているように感じる」と現状に警鐘を鳴らした。だからこそ、選手たちは自らの身を守るために対策を講じる必要がある。
その具体策として挙げるのが、芸能人や政治家などの例だ。増沢氏は「中身は本人が書くが、運用は所属事務所が行うなどの仕組みを作っていることが多い。(ユーザーの)善意を前提としたSNS運用は避けるべき」と提言した。ファンからの応援は力となる一方で、誹謗中傷を受けるリスクとも隣り合わせ。アスリートもSNSとの向き合い方を見直す必要がありそうだ。
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