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【菊地敏幸連載#49】外れ外れ1位で近本光司を獲得 戦略下手だった18年のドラフト

東スポWEB / 2024年10月8日 11時5分

外れ外れ1位で入団した近本光司。今や完全な主力だ

【菊地敏幸 辣腕スカウトの虎眼力(49)】私が阪神のスカウトに就任した頃には想像もつかなかった話ですが、今ではテレビ、新聞、ラジオなど既存のマスコミだけではなくインターネットメディアも野球を分厚く取り上げます。

阪神のスカウトを退任してからも、ありがたいことに数々のメディアの方々から取材依頼を受ける機会がありました。NPBから退いた後でもそうした需要があるということ自体、ありがたい話です。こうして東スポでも連載記事を発信させてもらえることにも感謝です。

ところで皆さんは「ABEMA」というメディアをご存じでしょうか。動画ストリーミングプラットフォーム、広告付き無料ストリーミングテレビと説明されていますが、我々のような高齢者には何のこと?っていう世界ですよ。

つまるところ、IT企業と大手テレビ局がコラボして従来とは違った映像メディアとして情報を発信しているのですが、視聴者層はより興味のある分野を掘り下げたいというマニアックな方々が多いなという印象です。

2018年10月下旬にABEMAに出演した際には、東京六大学の解説という立場で画面に登場させてもらいました。六大学の関係者の方々は母校愛も強く、なかなか神経を使うお仕事なんですね。下手なことを話したら業界出禁になるかもしれませんからね。

ちょうどその放送日の2日前でしたかね。ドラフト会議があったものですから当然、元スカウトの私にはその話題が振られます。18年といえば現在、不動の1番打者に成長した近本光司外野手(大阪ガス)が外れ外れ1位で阪神に加入してきたドラフトです。

当時、阪神は1巡目で大阪桐蔭の藤原恭大外野手(ロッテ)を指名して抽選で外しました。続いて立命館大の辰己涼介外野手(楽天)も抽選で外します。その結果、近本を獲得するという流れとなりました。今では近本自身が大活躍し、阪神の中心選手になっていますから結果的に成功ドラフトではあると思います。

ただ、当時の状況を振り返るといろいろ思うところはありました。関西の有力球団である阪神だから大阪桐蔭から藤原の1巡目指名に決めたのか。これは藤原、辰己に対してどういう評価をしていたのかという問題になります。結果論ですが、あのドラフトでは辰己を一本釣りすることも可能だったわけですから。

近本には申し訳ないですが、当時の評価で言えば本来は2巡目で獲得したかった選手であると思われます。そうであるならば、藤原と辰己を抽選で外した時点で戦略を整理し、1巡目に東洋大・梅津晃大(中日)を即戦力投手として獲得し、2巡目で近本という指名もあり得たのではないのか。要は戦略下手でした。

阪神は11年に慶大・伊藤隼太、15年に明大・高山俊を1位で獲得しています。即戦力を期待した外野手を指名しながら、なかなかレギュラー固定とならなかった時代です。この間、久々のリーグ優勝を目指すチームはメジャーから復帰した福留孝介、オリックスからFA移籍の糸井嘉男を獲得するなど戦力補強をしていました。が、ベテランに長く依存せざるを得なかった体質がその後も続きました。

結果、近本が成長して23年にはリーグ優勝、日本一。ドラフトというのは本当に分からないものです。

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