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発見確率90%以上! イヌのがん検査 対象をネコに拡大へ 開発医師に聞く【後編】

東スポWEB / 2024年10月13日 10時0分

病院でわずかな血清を採取して4日程度で結果が出る

イヌのがんを早期発見できる検査が始まっている。採血だけなので簡単に受けられ、定期的に検査すれば、がんを早期発見できるという。検査法を開発した医師に話を聞いた。

【発見確率は90%以上――人間のがんの最先端技術を応用】がんの早期診断を受けるイヌは、飼い主とともに指定病院で問診、触診を受けた上でスプーン1杯ほどの採血をするだけである(図参照)。がん細胞に太い針を挿入したり、組織をメスで切除したりする検査ではないのでイヌの負担は少ない。

指定病院は採血後の検体から血清を分離してメディカル・アーク(東京都小金井市)に送付。同社でマイクロRNA検査し、結果は4日程度で出る。がんであれば90%以上の発見確率とされる。

「この早期診断は補助的な診断です。万一、陽性だった場合は特定されたがんの種類に応じて血液検査、エコー検査、X線検査、CT検査、MRI検査などを受けて確定診断を受け、治療へと進むことになります」と説明するのは、イヌのがん早期診断システムを開発したメディカル・アークの伊藤博社長である。CT検査などの大がかりな検査に比べると簡易に受けることができるため、イヌの健康診断の際などに併せてがんの検診を受けられるメリットがあるという。

この診断方法は、マイクロRNA研究の権威として知られる東京医科大学医学総合研究所の落谷孝広特任教授が開発した、リキッドバイオプシーという人間のがんの診断方法を応用している。人間とイヌの疾患は類似している点が多い。がんについても人間とイヌは疾患の発生状況や発生原因も類似している。

落谷氏の技術サポートを受けて同社が開発したのが、イヌに負担をかけずに採血だけで受けられる検査技術である。がん細胞自体ではなく、血液中のマイクロRNAを解析することにより初期段階のがんを早期発見できる。12種のがん(肝臓がん、口腔内メラノーマ、尿路上皮がん、リンパ腫、肥満細胞腫、乳腺がん、扁平上皮がん、鼻腔腺がん、血管肉腫、骨肉腫、肛門嚢腺がん、肺腺がん)について血液からがんの種類も分かり、治療方針を立てる参考にもなる。

このがん検診システムは、すでに米国、ヨーロッパ、中国、シンガポール、マレーシア、カナダなどに特許を申請している。特に米国は、がん細胞由来の遺伝子変異検査が登場していたものの、感度も低く臨床情報量も少ないので期待に応えられていなかったため、同社の技術に対して期待と関心が寄せられている。

【全国670の指定病院で検査が可能】現在、この検査を受けられる指定病院の登録数は670である。ただし同社の検査料金については登録病院との関係から開示できない。一般にイヌががんになった場合、病院の検査では同社の検査だけでなくエコー検査やCT検査、組織検査などの確定診断をすることが多い。そうした検査料のほかに全身麻酔の費用やその他の経費、初診料、再診料なども必要とされる。

こうした治療費の目安について伊藤社長は「仮にがんだと判明したら治療費は約100万~150万円以上かかります。イヌの場合で7歳(人間の40代)くらいから医療費がかかるようになりますので、これからはそのための準備として医療費を積み立てるなどの用意をするといいでしょうね」とアドバイスしてくれた。

また現在はイヌ向けの検査だが、ネコでも38%の死因ががんだとされ、検査対象をネコ向けにも拡大する予定だという。

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