大木金太郎VSボボ・ブラジル日米頭突き一代対決 72年12月4日インターナショナル王座
東スポWEB / 2024年10月13日 10時0分
【昭和~平成スター列伝】頭突きは男のロマンである。最小限の動きで相手に絶大なダメージを与えられる(リスクも大きい)。頭突きが認められる競技はプロレスだけだろう。今も頭突きを使うレスラーは多いが、やはり昭和の“頭突き一代”といえば“韓国の猛虎”大木金太郎、米国なら“黒い魔神”ボボ・ブラジルしかない。
両雄は日本プロレス末期の1972年12月1日横浜で“頭突き世界一決定戦”と銘打って、ジャイアント馬場の日プロ退団により、空位となったインターナショナルヘビー級王座決定戦を敢行。この試合は壮絶な頭突き合戦の末、最後はブラジルが凶器攻撃で新王者となっている。
わずか3日後の12月4日広島ではリマッチが行われ、こちらも壮絶戦の末に、大木が悲願のインターナショナル王座を奪取した。本紙は1面で詳細を報じている。
『横浜大会でブラジルの凶器攻撃を受け、血ダルマにされた大木は、ノド元にゴム、その上に皮のノド輪を巻きつける痛々しい姿で登場。大木はいきなり後頭部へ頭突きを見舞うが、ブラジルは耳へ頭突きのお返し。ダメージは大木のほうが大きく、ブラジルは大木の耳にかみつき、ロープに飛ばして肩車。ブラジルはニードロップで1本目を先取した(12分39秒)。2本目、大木はトゥーホールドからその足へ頭突きを加える。ロープに逃げたブラジルを引っ張り出し、アッという間に逆エビ固め。足を痛めている王者はたまらずギブアップした(5分57秒)。決勝の3本目は両者血相を変えての攻防。大木はブラジルの左ももにキック。ブラジルは力を振り絞って耳へ頭突き。ここで大木はタイツから栓抜きを取り出してブラジルのノド元へ一閃。横浜決戦の復讐ともいうべき凶器攻撃でブラジルはダウン。大木はノド元を押さえ、難なくフォール(2分25秒)して新王者の座に就いた。まさかの凶器攻撃に大木は「横浜の怨念は一生忘れられない。死んでもいい。俺はやると思っていた」と語った』(抜粋)
大木はその後、防衛を続けるも73年4月に日プロが崩壊。ベルトは大木が個人的に保管して韓国で防衛を重ねた。80年に国際プロレス参戦の際も日本で防衛戦を行ったが、81年4月にNWA本部からの勧告によって王座を返上。ベルトは全日本プロレス預かりとなり、王座決定トーナメントの末、ドリー・ファンク・ジュニアが第9代王者となった。
同期であるアントニオ猪木、ジャイアント馬場らと歴史的名勝負を展開しながら、日本では不遇な立場にあった大木にとって、日プロ最後のインターナショナルヘビー級王者という称号は何ものにも代えられない名誉だったろう。頭突き一本で波瀾万丈のプロレス人生を生き抜いた大木はまさに「レスラーのかがみ」だった。 (敬称略)
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