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【菊地敏幸連載#54】外れ1位で阪神が長野久義くんを指名していたらどうなっていたのか…

東スポWEB / 2024年10月17日 11時0分

08年のドラフトでロッテに2位指名されたホンダ・長野は困惑顔

【菊地敏幸 辣腕スカウトの虎眼力(54)】2006年ドラフトの大学・社会人部門では指名を受けながら入団を拒否した選手が2人出ました。そのうちの一人が日本ハム4巡目指名の長野久義外野手(日大)です。長野は巨人志望が強くプロ入りを拒み社会人のホンダに進みました。

そして2年後の08年です。巨人も2年待ってくれたわけですから、ドラ1で指名を予定していたと思われます。ただ、この年は東海大相模高のスラッガー・大田泰示内野手が出てくるわけですよ。巨人は大田、長野のダブル獲りを画策し当時の長谷川スカウトが水面下で動き回っていたと思います。

当初、大田は東海大に進学という方針を崩しませんでした。プロ志望届も出していませんでした。その締め切りの2日前くらいでしたかね。私は相模のグラウンドを訪れました。するとその場に巨人とご縁のある新聞社の記者がいたんですね。

これはなんかあるな。私はその時点でピンときました。相模の監督からは「なんかあれば連絡します」と言われ、その場を去りました。そして私の予想は的中しました。プロ志望届の締め切り直前に「すいません。やはり提出します」と監督から連絡が入ったんです。

もう、その時点で巨人ドラ1・大田は確定です。そうであれば阪神が1位で長野を指名できないものなのか。私の頭はそちらにシフトしていました。早速、動きました。ホンダの監督、長野本人に連絡です。

私は個人的に長野を1位でいきたい。高く評価している。ホンダの監督にも了解を取り「これだけ待っても巨人とはご縁がないんですよ」と説得を試みました。ウチはしっかり1位で指名させていただきますと。

しかし、最後まで結論は出ませんでした。そしてドラフト当日です。会議が始まる1時間前に返事が欲しいと約束し、長野と電話で話しました。

阪神のスタッフもみんな菊地の電話を待っています。でも、その場での返事は「すいません。何年でも巨人を待ちます」というものでした。頭の中で「ガーン」と音が聞こえましたよ。そこまでの巨人愛があるなら仕方がない。その時点でリストから長野を消したわけです。

実際のドラフトでは阪神は1位で早大・松本啓二朗外野手を指名するも横浜と競合し抽選で外れです。巨人は大田を予定通り1位指名です。ソフトバンクと競合しましたが巨人が当たりクジを引き当てました。

阪神は外れ1位があるんですが、もう私の中では長野を消していて、シミュレーションもしていませんでした。阪神は外れ1位でNTT西日本の藤原紘通投手を指名するも楽天と競合し外れ。最終的に奈良産大の蕭一傑投手で1位が確定しました。

でも、ここからが問題なんです。ロッテが2位で長野を指名したんです。私はもし、長野がロッテに入団することになったなら辞表を提出するつもりでした。

長野の周囲の人たちはあれだけ阪神が頑張ってくれて、本人の意思を尊重し指名から下りてくれたのにロッテに2位で行けないだろうと猛反対してくれたそうです。長野本人ももう1年、巨人を待つことを決断しました。

ただ、あの時に外れ1位で阪神が強引にでも長野を指名していたらどうなっていたのか。それでも断られていた方が正解と思いたいんです。指名されれば阪神に入団していたかもしれませんと言われれば、なぜいかなかったのかと後悔しちゃいますから。長野くん、このコラムをもし読んでいるなら教えてもらえるかな。いや違うな。聞くのはやぼってもんですね。

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