【競泳】大橋悠依 2023年秋で引退決断した理由 パリ五輪出場まで「あと１回だなと思わないと…」

平井伯昌コーチ(左)とともに会見に臨んだ大橋悠依

競泳女子で２０２１年東京五輪個人メドレー２冠の大橋悠依（イトマン東進）が、現役引退を決断した経緯を明かした。

自身の２９歳の誕生日に合わせて１８日に都内で会見を行った大橋は、黒のスーツ姿で登壇。東京五輪後は「自分の感情がどうなっているのか把握できないぐらい、頭や感情の混乱があった」と明かし、１～２か月ほど泳げない時期もあったという。

当初は２２年に福岡で世界選手権が行われる予定だったが、１年延期になったことを受けてパリ五輪まで現役を続けることにした。ただ、再び夢舞台に立つためには、冬の厳しい練習を乗り越える必要があった。そこで大橋は「その冬を越えるのはあと１回だなと思わないと、ちょっと自分の心が持ちそうにないなと思った」と２３年秋にパリ五輪後の引退を決断。自らゴールラインを設定して、パリ五輪まで駆け抜けた。

パリ五輪はメダルに届かなかったものの、２大会連続で夢舞台を経験。競泳界の歴史を彩った大橋は「結果に価値があると思っていたが、この３年間で自分の金メダルへの思いが少し変わった。自分の糧や勇気になったのは、東京五輪という舞台で自分の力を出せたこと。そういう経験があることが、この（東京五輪後の）３年間の糧だった」と感慨深げに語った。

自身の競技生活は「１２０点と言いたいが…」と切り出した上で「届かなかったことを１つ挙げるなら世界新記録の樹立。（４００メートル個人メドレーで）４分３０秒を出した時に、もっともっと自分の心の中で狙っていくべきだった。９５点にしたい」とにっこり。最後まで晴れやかな表情で自身の競技生活を振り返った。