【山口敏太郎の現代妖怪図鑑210】下半身のみが歩き回る怪異「逆てけてけ」
東スポWEB / 2024年10月23日 11時36分
オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第210回は「逆てけてけ」だ。
妖怪「てけてけ」は、上半身だけしかなく、その上半身だけではい回って追いかけてくるのが特徴であるが、「逆てけてけ」は、これとは逆であり、下半身のみが歩き回る怪異である。一体どこで前を見ているのか不明だが、つまずくことなく、まっすぐ歩いてくる。
この妖怪を目撃した人物の証言によると、深夜に赤いハイヒールを履いた2本の足が歩いていったという。目撃者は見たものが信じられず、朝までぼうぜんとしてしまった。
伝承妖怪には、足だけの妖怪はいる。例えば、本所七不思議の一つに数えられる「足洗い屋敷」が思い出される。これは薄汚れた巨大な足が突如、天井から差し出されるという怪異であり、これを騒がず、足をきれいに洗ってやると、おとなしく引っ込むとされた。ただし、この足洗い屋敷で突き出される足は毛だらけのゴツいものだという。
また「馬の足」という妖怪もいるが、これは道端にある木々の枝から、突如、馬の足がぶら下がり、道行く人をおどかすものとされた。これもまた馬の足であり、人間の足とは違う。
他にも、熊本県八代市の松井文庫所蔵「百鬼夜行絵巻」に描かれている「二本足」が挙げられる。これは大きめの男の顔に2本の足が生えているものであり、詳しい性質は分かっていない。ただし、この妖怪の場合、頭部が確認でき、逆てけてけとは明らかに形が違う。
あと、現代においては、米国のネーティブアメリカンの伝承に見られる「ナイトウォーカー」が挙げられる。これは夜中に歩き回るもので、2本の足だけが移動していく。これが最も逆てけてけと似ているかもしれない。
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