ドラ1「事前公表」は広島の宗山塁だけ なぜ今年は激減? 日本ハム栗山CBOの私見とは…
東スポWEB / 2024年10月28日 11時45分
【球界こぼれ話】今後は「非公表」が主流になるのか。そんな印象を受けたのが、24日に行われたプロ野球ドラフト会議における1位指名選手の「事前公表」である。
これまでのドラフトでは会議前日までに複数球団が1位指名を公表。球団側から積極的に指名選手を明かす傾向もあった。だが、今年のドラフトでは前日までに1位指名選手を明かしたのは、宗山塁内野手(21=明大)の獲得に動いた広島の1球団にとどまった。
球団側が事前に1位指名を公表すれば指名選手に獲得への熱意が伝わり、他球団に対して一定の「けん制」も与えられる。一方で、指名を公表すれば自軍のドラフト戦略を他球団に察知される危険性もはらむ。この相反する利害をてんびんにかけた上で各球団が「公表か否か」を判断していたはずだ。それがなぜ今年は事前公表が激減したのか。
日本ハムの栗山英樹CBO(チーフ・ベースボール・オフィサー)がドラフト前日のスカウト会議後、私見とした上で今年のドラフト指名の難しさをこう明かしていた。
「今年はドラフト上位候補選手が集まっている年か、というとそうではない感じがする。逆に言うと(プロで)大化けしてもらいたい期待感がある選手や、ダメかもしれないけどすごく可能性があり『勝負してみたい』という選手が多い気がする。そういうところを含め(指名を)どうするのか。そのあたりが今年に関してはあると思う」
こうした意見を聞くと、事前公表の減少は絶対的な即戦力選手が少なかった影響もあったのだろう。では、有力な即戦力選手が集う「豊作年」であれば再び事前公表は増えるのか。ドラフト後にパ・リーグの元スカウトに聞くと「今後は公表しないことが普通になるかもしれない」とし、その理由をこう明かした。
「確かに1位指名選手の事前公表は球団側の熱意や誠意が伝わる。でも、逆指名があった時代とは異なり、現行制度では他球団と重複指名になった場合は必ず抽選になる。つまり公表して誠意を見せても抽選となれば交渉権獲得は運次第のため、あえて公表する必要性がなくなりつつあるのです。もちろん球団側からマスコミの方々に偽情報を流して他球団の指名をかく乱することも可能ですが、今の時代にそれをやれば球団の信頼が失墜しかねない。ファンやアマチュア球界からも批判を浴びるでしょう。こうした現状を踏まえると1位指名の非公表の流れは当然なのかもしれません」
ドラフト会議も時代とともに変貌する。今後の1位指名は非公表を前提とした各球団の駆け引きが活発化していくのかもしれない。
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