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中国で相次ぐ〝無差別殺人事件〟 公安部が警戒する「八失人員」「三低三少」とは

東スポWEB / 2024年11月18日 6時9分

花が手向けられた中国・江蘇省の専門学校の事件現場(ロイター)

中国江蘇省無錫市宜興の専門学校「無錫工芸職業技術学院」で16日午後6時半ごろ、同校に通っていた男(21)が刃物で無差別に切り付ける事件が発生し、8人が死亡、17人が負傷した。男は現場で拘束され、犯行を自供しているという。中国でなぜ通り魔的な無差別殺人事件が相次いでいるのか。

男がインターネット上に残した〝遺書〟によると、試験に失敗して卒業証書を受け取れなかったという。また、インターンシップで働いていた工場で1日16時間働いても賃金を支払われなかったとして「私の死が労働法の進歩を促進することを願っています」「私が正直な人間だと思わないでください。いくつかの清算が必要です」と記した。

中国では通り魔的な無差別殺人・傷害事件が相次いでいる。11日には、広東省珠海市で車を暴走させた男によって35人が死亡する事件があったばかり。6月に江蘇省蘇州市で日本人母子が負傷。9月には広東省深圳市で登校中の日本人男児(10)が刺殺された。10月には、浙江省寧波市と広東省広州市でも中国人の少女や小学生らが切り付けられ負傷した。

いずれも恨みを抱いた相手への犯行ではなく、見ず知らずの相手への通り魔的な犯行だ。

中国事情通は「貧富の格差、抑圧、富裕層への憎悪、経済不況などの社会問題が顕在化しています。十数年前に日本で『誰でもよかった』という通り魔事件が続き、他者を巻き込んだ〝拡大自殺〟と分析されましたが、中国での事件も同様です。一つの事件が模倣犯を呼び、続いてしまうのでしょう。今後も同様の事件が起こるのではないかと不安の声が上がっています」。

そのためか、中国政府はSNSを徹底管理し、中国版Xの「微博」などでは、事件現場の画像、事件関連の書き込みがすぐに削除されるか、表示されなくなっているという。

「SNSの規制だけではなく、事件現場に地元有志が献花台を設置しても、報道で知った人々が現場に献花しても、ロウソクを手向けても、当局がすぐに献花台、花束やロウソクを撤去するんです。事件を沈静化させるという建前ですが、事件がすぐに忘れ去られるので、徹底した分析が行われず、悲劇が続いてしまうという批判もあります。実際は習近平政権へ怒りの矛先が向くのを恐れているんです」(同)

実際にSNSではすぐに削除されるが「これは習近平が築き上げた社会の縮図にすぎない」「無制限の政府権力が社会を抑圧し、国民は互いに殺し合い、共食いすることで地獄に向かっている」「一連の社会事件の諸悪の根源は習近平だ」など、政府批判の声が出ている。

一方、政府も地域単位の調査を行い、解決の道を模索しているようだ。香港メディア「香港01」によると、公安部が「八失人員(8敗者)」「三低三少(3低3若)」を対象に調査している。

8敗者とは、投資の失敗、失業、人生の挫折、欲求不満、人間関係の不調和、精神状態の不均衡、精神障害。3低とは、収入が低い、地位が低い、対人関係が少ないことだとしている。

当局は通り魔的事件のたびに、偶発的な単一の事件であると繰り返し強調している。しかし〝社会的報復〟事件を分析している中国の専門家は「個人の復讐や社会的事件は偶然ではなく、国家統治は公平性と正義に注意を払わなければならない」と指摘している。

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