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【マキ上田連載#15】ジャッキー佐藤との「敗者引退マッチ」試合後なぜ私の顔はひきつっていたのか

東スポWEB / 2024年11月21日 16時4分

敗れたマキ(左)と歌うジャッキー(ロッシー小川氏提供)

【マキ上田 ビューティ・ペアかけめぐる3年間の軌跡(15)】1979年1月にジャッキー(佐藤)と「敗者引退マッチ」(日本武道館)をやることを発表するおよそ1年前、恋愛関係で崩れていくジャッキーに愛想が尽きたのがきっかけで現役引退を決断しました。しかも、そのタイミングで母が亡くなったため、私のやる気は一気になくなってしまったんだよね。

母親は白血病でずっと入院はしていたんだけど、忙しくて連絡をしていませんでした。母も私に心配をかけないようにって連絡をしてこなかったみたいで、病気が悪化してから連絡がきたんです。白血病って病院にある輸血パックを使うのはダメで、同じ血液型の人を病院まで連れてって輸血しないといけませんでした。だから1日に何十人もの血が必要で、すごく費用もかかるから、自分の給料は全部母の医療費に回してました。

母が危篤状態になった時は、会社も病院に行かせてくれることになっていたんだけど、その日は試合があって到着がギリギリになっちゃって。病院に着いた時、母の心臓はまだ動いていたものの、もう目は閉じたままでした。さすがにちょっと会社を恨んだけど、治療費は出せたから少しは親孝行できたかなって思っていますね。

「敗者引退マッチ」の発表から1か月が経過した2月27日、ジャッキーとベルトをかけて初めて戦った日本武道館で60分1本勝負に臨みました。自分の気持ちの中では「この試合で自分が引退をかける」って言ってるわけだから「私は負けなきゃいけない」と思って挑んだんだよ。でも、試合中はそんなこと頭から抜けちゃって、ついつい肩を上げちゃうの。何度フォールされても、やっぱり肩が上がっちゃうから時間ギリギリまで試合をしていたはず。最後は意地になったジャッキーに返せないぐらいの力で押さえつけられて、3カウントを聞いたね。

この試合後には2人並んでリングに立って歌ったんだっけ…。この時は「やっと引退できた」ってホッとした気持ちだったよ。写真とか映像を見てると、歌ってる私の顔がひきつってるから、泣いてるジャッキーに抱き寄せられてちょっと嫌だったかもしれない(笑い)。試合の後「精一杯戦いました。悔いはありません」って言った通り悔いなんてなかった。

1年前、社長には選手を辞めることを話していたけど、引退する日まで後輩たちには話してなくてさ。試合が終わったら控室に後輩たちが飛び込んできて「マキちゃんどうして!?」って泣きながら言われたのは何となく覚えてる。ジャッキーとは控室も別だったから試合の後も顔を合わせていないし、社長から「お疲れさま」と言われた記憶もない。本当なら、札束持ってあいさつに来いよって話だよね。

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