【宮崎祐樹連載#24】森脇監督の「論ずるに値しない」というフレーズはナインの流行語に…
東スポWEB / 2024年12月3日 11時4分
【宮崎祐樹連載 オリのゴリBsを知り過ぎた男(24)】プロ2年目の2012年、プロ初安打初本塁打が1回表の初球というNPB史上初の出来事から僕の歩みが始まりました。そこから森脇監督1年目となった13年は自己最多の53試合に出場。何とかプロの世界でやっていけるかなという心になっていました。
4月10日のソフトバンク戦で決勝打を放つなど、序盤は好調をキープしていました。ただ、調子は安定せず一、二軍を行ったり来たりのシーズンでした。一軍に再昇格した6月12日には巨人戦で即スタメン起用してもらったんですが、打席でのスクイズのサインミスで三塁走者を挟殺されてしまうというプレーが起こりました。翌日には即刻二軍降格。森脇監督には「論ずるに値しない」と酷評を受けてしまいました。
不名誉なことではありますが、この「論ずるに値しない」というフレーズはその後、ナインの間で流行語になってしまったほどです。今でも当時の先輩選手からのLINEの書き出しは「論ずるに値しない」から始まります。
とはいえ前年の13年に自己最多出場を経験した僕は、14年春季キャンプには相当な決意で臨んでいました。オフの補強で日本ハムから糸井嘉男さんをチームは補強していました。それでも僕はレギュラーを獲得してやるという気持ちで練習に取り組んでいました。
ただ、自分の思いとは裏腹に思い通りに事は運びませんでした。キャンプ中の紅白戦での出来事です。一死一、二塁の場面で僕は二走としてプレーしていました。その際、打席に立っていた山本和作はフルカウントから真ん中の変化球を見逃し三振。当時のチームルールでは当該の場面では自動スタートのエンドランと定められており、三塁へスタートした僕はタッチアウトとなり三振ゲッツーでチェンジです。
サインを見逃した形となった山本は、この場面で謝罪。そのまま試合は続行されていきました。それなのに、試合後にコーチ陣から叱責を受けたのは僕でした。「なぜ、あの場面でスタート切ってない? 明日から二軍だ」と通告されてしまいます。
僕は確実に自動スタートで三塁へ向け走り込んでおり、足からスライディングして三塁ベース上でアウトの判定を受けています。それはプレーしていたチームメートも監督、首脳陣も目の当たりにしていたはずです。
僕としては到底、納得できるはずはありません。コーチ陣にもプレーの詳細を再確認し、僕がスタートを切っていたことを認めてくれました。その上で監督にもその旨を伝えてくれたのですが、二軍行きの決定が覆ることはありませんでした。
気付いた時には僕は監督室に飛び込んでいました。自分に非がないことを直訴しましたが、聞く耳を持ってはもらえませんでした。そのプレーだけではなく何か他に原因があったのかもしれません。レギュラーを本気で目指していた僕はやるせない気持ちのまま、二軍行きを受け入れるしかありませんでした。
そういう影響があったのかどうかは分かりません。森脇監督2年目の14年の僕は出場試合数が激減します。わずか4試合8打席で5打数1安打3四球。その1安打は交流戦で中日のエース・大野雄大さんから放った1本です。それでも、その翌日に二軍行きを告げられました。
「何でやねん」。最高のチームメートに恵まれているはずなのに…。波に乗れないプロ4年目の僕はもがいていました。
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