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「紀州のドン・ファン」殺人事件 須藤早貴被告に無罪判決

東スポWEB / 2024年12月12日 17時29分

「無罪」判決を勝ち取った須藤早貴被告の傍聴絵(絵・上さち子)

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助さん(当時77歳)を殺害したとして殺人などの罪に問われた元妻の須藤早貴被告(28)の裁判員裁判の判決公判が12日、和歌山地方裁判所で行われた。福島恵子裁判長は、須藤被告に「無罪」を言い渡した。

野崎さんと須藤被告は2018年2月に結婚。その3か月後に野崎さんは亡くなった。死因は「急性覚醒剤中毒」だった。

事件から3年後の21年、野崎さんに致死量の覚醒剤を何らかの方法で口から摂取させて殺害したとして、須藤被告は逮捕・起訴された。

直接証拠がない中で、検察側は28人もの証人尋問を実施し、その中には2人の「覚せい剤の密売人」も含まれていた。

検察側は論告で「遺産を得るための殺人は強盗殺人と同程度の悪質さで、有期懲役を選択する事情はない」として無期懲役を求刑。一方、須藤被告は「私は殺していませんし、覚醒剤を摂取させたこともありません」と無罪を主張していた。

世間の注目を集めたこの日の判決公判には48席の傍聴席に対して、傍聴希望者は約300人。午前9時から並ぶ人もいた。

そして午後1時40分に開廷。法廷に現れた須藤被告は、黒のパンツスーツに白のハイネックのトップスを合わせたシックな装いで、長い黒髪を緩く巻いていた。

裁判長から「無罪」を言い渡された須藤被告は顔を伏せ、すすり泣くような様子を見せ、弁護人がハンカチを渡す場面もあった。傍聴席は騒然となり、記者席の記者は慌ただしく法廷を出入りした。

裁判長は「野崎さんを殺害することは可能」としたものの、覚せい剤の売人の「証言が整合性が認められない」と指摘。須藤被告が覚醒剤を購入したこと自体を「疑わしい」と判断した。従って「同被告が野崎さんに覚醒剤を摂取させたと推認することはできない」とした。

また、「野崎さんが覚醒剤を過剰摂取したことは否定できない」とも述べた。

須藤被告を巡っては、野崎さんとは別の男性から現金約3000万円をだまし取ったとする詐欺罪で、今年9月に懲役3年6月の実刑判決を言い渡され、確定している。

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