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闇バイト根絶へ 日本初「仮装身分捜査」の効能と難しさ

東スポWEB / 2024年12月18日 6時14分

闇バイトの全容解明なるか

闇バイトに応募する人が後を絶たない。メディアが報じても、応募する人はニュースを見ないからだ。政府は17日、犯罪対策閣僚会議を開き、SNSを通じて犯罪の実行役を募る闇バイトを取り締まるために「仮装身分捜査」による「雇われたふり作戦」を導入する緊急対策をまとめた。日本初の試みだが、欧米では重大な犯罪の摘発に効果を出している。

この日の犯罪対策閣僚会議の柱として、来年早期に捜査員が架空の運転免許証などを使って闇バイトに応募し、犯行グループに接触する仮装身分捜査を早期に実施する。

石破茂首相は「闇バイト情報を許さない労働力の募集環境を整え、事件の首謀者まで絶対に検挙するため、徹底的な取り締まりを行う。断固たる決意のもと、スピード感を持って各種対策に取り組んでほしい」と関係閣僚に指示した。

仮装身分捜査では、架空の身分で闇バイトに応募し、雇われたふりをして、犯行グループの指示役など上位に接触を試みる。専門家らは一定の効果を期待しているが、同時にSNS事業者に闇バイト募集の書き込みを即時削除することも求められる。今回はまだ事業者への強制はない。

インターネットの〝潜入捜査〟が進んでいる米国はどうなのだろう。

米国事情通は「今回の試みは指示役とつながり、闇バイト犯罪グループの解明、摘発を目指すものでしょう。一方、アメリカではおとり捜査、潜入捜査で、相手に犯行を働きかけ、実際にやったら逮捕というものです。児童への性的虐待、人身売買、薬物売買、銃器売買、殺人依頼・請負、ロマンス詐欺などの常習者、予備軍を捕まえています」と語る。

例えば、ある男がSNSなどに「殺しを請け負うから大金がほしい」と書き込みしたのを警察が発見したとする。警察がネット上で架空の人妻になりすまし、架空の夫の殺害を依頼する。男が銃を調達したり、金銭の振り込みを受け取った時点で逮捕となる。

このように捜査官がインターネットを利用して、架空の児童になりすまして、児童を誘惑、搾取、人身売買する犯罪者を特定し、所在を突き止め、逮捕することができる。

日本では闇バイト募集者に対して、おとり捜査のような犯罪の働きかけはできないが、架空の身分でつながることができるようになるわけだ。

元警察関係者は「問題は、闇バイトに応募する人はわれわれの想像以上に悪意に対して無防備で、目先のことすら考えられないことが裁判などから分かっています。闇バイトが危ないというニュースを目にしたことすらないような人なんです」と指摘する。

仮装身分捜査員は、無防備なふりをしつつ、相手から情報を引き出さねばならず、難しいスキルを求められそうだ。

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