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【宮崎祐樹連載#37】チームの精神的支柱・金子千尋さん退団の経緯が残念でならない

東スポWEB / 2024年12月25日 11時4分

オリックスで一時代を築いた金子千尋

【宮崎祐樹連載 オリのゴリBsを知り過ぎた男(37)】僕がオリックスを退団するころのお話をしていると、現役時代にお世話になった先輩たちのことを思い出しますね。僕が在籍した時代のオリックスのエースといえば、文句なしで金子千尋さんです。チームの枠を超えてパ・リーグを、NPBを代表する右腕だったと思っています。

チームとしては低迷期でしたが、長期間にわたってレベルの高いパフォーマンスを発揮し続けていました。「変わった人」と表現する方々もいることは確かです(笑い)。でも、プロ野球選手なんてみんな変わってますから。あれだけしっかりした理論を持って、練習もめちゃくちゃするし、誰も意見できる余地がないほどの存在感を示していましたよ。

オリックス時代に最多勝2回、最多奪三振1回、最優秀防御率1回ですよ。この時代に200イニングを超えるシーズンを2度もやってるんですから。間違いなく球団からすれば功労者ですよね。でも今現在、オリックスに残っていない(日本ハム二軍投手コーチ)というのは損失ですよ。貴重な人材の流出です。

金子さんがオリックスを退団したのは18年のオフでした。このシーズンは故障も抱えていて17試合に登板し、4勝7敗、防御率3・87という成績でした。8月半ばには戦線を離脱してそのままシーズン終了という流れでした。

当時の金子さんは5億以上の年俸でしたよね(当時の報道では推定6億円)。そうなると当然、事前に下交渉が行われるんですが、そこでおかしな方向に話がいってしまったようで…。

当時の報道では契約更改交渉で球団から野球協約の減額制限(年俸1億円超の選手に対しては40%を上限に設定)を超える減俸提示を受け、金子さんが自由契約を申し入れたということになっています。それを球団も容認したと。再契約による残留の道も残したということになっていますが。

でも、そんな単純な問題ではないことはファンの方々でも想像できますよね。あれほどの選手となれば、年俸の額はもちろん大事でしょうけど、それだけではないはずなんです。球団在籍時の功績をしっかり認めてくれているという実感があれば、結果は変わっていたはずだと思うんです。

金子さんは12月2日に自由契約選手として公示されました。4日には日本ハムとの間で年俸6億円から4億5000万円減の1億5000万円(推定)で1年契約がなされたと報道されました。

球団が金子さんを放出となった時には「ワーッ」と思いましたね。僕自身の契約更改では立場をわきまえず球団に意見してしまいました。僕みたいな選手が言ってる場合じゃないんですけどね。まず、自分のことをちゃんとやらないとダメなのは分かってましたけど、それくらいの気持ちでした。

あんなにもお手本になるような、チームの精神的支柱を失うなんて。これは球団からすれば世代交代であったり、将来的な編成方針を見据えてのことだったのかもしれません。それにしても、そこに至る経緯がなんというか。はい、そうですか、さよならみたいな退団の仕方にならないようにできなかったんですかね。今は強くなったオリックスですが、当時は残念でならなかったですね。

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