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“襖張り”70年の東大生サークル 張り替え作業で見えた「知識の集大成」とは?

東スポWEB / 2024年12月29日 10時9分

そんな温かい人々に支えられているサークルだが、依頼数自体は和室文化の衰退も影響し、減少しているのも事実。池村さんは「一番盛り上がっていた時期では、繁忙期の12月だけで、現在の1年分の依頼が来たという話も聞いたことがあります」と説明する。

とはいえ“襖張り”の魅力は健在だと東大生たちは指摘する。「1つのものを深く知ることによって世の中の見方も変わってくると思うんですよね」と強調する新川さんは、昭和期を再現することが多いNHK朝の連続テレビ小説のセットで、色の違う障子1マスが気になってしまうことも。細部から生活のつつましさを表現する、美術班のこだわりを感じるそうだ。襖や障子に目が行くという点は全員同調しており、もはや“襖クラブあるある”となっていた。

またフィクションだけでなく、作業現場でも発見があると語るのは西村さん。「中にも紙が張ってあるタイプの襖では、はがしていくと昔の文章や新聞、絵はがきが出てきます。その家の歴史を感じると結構感動してしまいますね」

加えて襖の流行も移り変わるため、柄だけで時代の流れを感じることができるそうだ。

部歴が浅いという江上さんも、インタビューの最後には「実際仕事をすると、何度も張り替えられた襖特有の傷みがあったり、部品ごとに固有の取り外し方があったりして。意識していなかった場所にこんな“知識の集大成”があったのは驚きでした」と奥深さをアピールした。

東大で今も存在感を示す襖クラブ。学生を支える人々とともに積み重ねてきた伝統が、これからも続くことを願うばかりだ。

☆とうだいふすまクラブ 1954年に活動を開始した、東京大学の「襖・障子張り替え」サークル。戦後の大学生の貴重な収入源として発足した歴史を持つ。現在も学生間で襖・障子の張り替え技術を継承。一般家庭や各種施設からの依頼を受け、張り替え作業を担当している。

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