ラッコ最盛時は国内100頭超も…現在2頭のみ 20年以上の前から予想されていた〝激減〟理由
東スポWEB / 2025年1月6日 6時9分
水族館でラッコが見られなくなる!? ピーク時には国内の水族館で100頭以上が飼育されており、まさに水族館のアイドル的存在だったが、現在はなんと2頭のみとなってしまった。いったいなぜ、ここまで減少してしまったのか。
福岡市東区の水族館「マリンワールド海の中道」で飼育されていた17歳の雄ラッコ・リロが4日に死去した。同館の公式サイトは「リロの死亡により当館で飼育しているラッコはいなくなり、1989年から続けてきた展示が途絶えることになりました」と報告した。
実はリロは国内唯一の雄ラッコだった。現在、国内で飼育されているラッコは三重県鳥羽市の鳥羽水族館の20歳のメイと16歳のキラの2頭のみで、いずれも雌だ。
リロの訃報を受けて悲しみに暮れるとともに、国内で飼育されているラッコが2頭しかいないことに驚きを覚えた人も多かったようだ。1982年に国内の水族館でラッコの飼育が始まり、ピーク時の94年には全国で122頭が飼育されていた。なぜ危機的な状況になったのか。
ラッコは乱獲により野生の生息数が減少したため、ワシントン条約で国際取引を規制している。国際自然保護連合(IUCN)はラッコを絶滅危惧種に指定しており、輸入困難という。
それだけではない。鳥羽水族館の担当者は「20年以上の前から予想できていました」と話す。要因の1つが累代繁殖(何世代にもわたって繁殖させること)の難しさだ。ラッコの繁殖力は旺盛だが、それがアダになっているという。
のんびりした印象のラッコだが「雄は交尾したら終わり。自分以外の雄の存在を許さない。自分の子供であっても排除する」と気性が激しく時には殺してしまうことも。雌の場合は近親交配になるため、引き離すしかない。そのため「大人(のラッコ)の行動を見て学ぶことができなくなった」と世代を重ねるごとに〝草食化〟し、繁殖力が低下したと思われる。
IUCNが絶滅危惧種に指定しているが「北海道にもラッコが戻って来ています。ロシアでたくさん増えて日本に下ってきた結果」と明るい兆しもある。
今後については「今いる個体を長く見ていただけるように全力を尽くすことには変わりません」と語った。
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