トランプ次期米大統領〝グリーンランド発言〟の波紋 中国の資源開発を警戒、デンマークは防衛予算を拡大
東スポWEB / 2025年1月6日 6時9分
トランプ次期米大統領が昨年末、デンマーク大使の人事を発表した際、デンマーク自治領であるグリーンランドについて、安全保障上の観点などから「アメリカはグリーンランドの所有権と管理権が必要だと考えている」と発言したことが波紋を広げている。
トランプ発言後、デンマークのトロルス・ルン・ポールセン国防相は、グリーンランドの防衛予算を「100億クローネ単位」にすると述べた。少なくとも2000億円以上になるとみられる。
グリーンランドのムテ・エーエデ自治政府首相は先日、島の将来に対する意向を表明し、デンマークからの独立に向けて大きな一歩を踏み出すことが「必要」だと述べ、「売り物ではなく、今後も決して売り物にはならない」と強調した。
グリーンランドは世界最大の島で、島民は約5万7000人。地理的にはデンマークより米国に近い。前世紀のデンマーク当局による強制避妊キャンペーンなどの不正行為が何度も暴露されたこともあり、独立運動が勢いを増している。ただ、グリーンランドは鉱物資源が豊富にもかかわらず、デンマークからの多額の財政援助に依存している。
デンマークからの独立は住民投票によって決められるが、エーエデ氏は4月の議会選挙と同時に独立住民投票が行われる可能性を示唆した。
米国事情通は「グリーンランドは米国から欧州への最短ルートに位置し、米空軍の大規模な基地があり、鉱物資源も豊富で、米国にとって戦略的に極めて重要な場所です。トランプ氏は第1次政権の時も購入する計画を示しました。もともと1800年代からグリーンランドの買収が検討され、第2次世界大戦後、トルーマン大統領が買収提案しています。グリーンランド買収が実現すれば、ルイジアナ買収を上回るアメリカ史上最大の領土拡大となるため、トランプ氏のレガシーとなります」と語る。
さらにトランプ氏にとって、経済戦争のライバルとなる中国をけん制する上で重要な島だ。
「グリーンランド自治政府にとって独立への課題は経済的自立です。デンマークに経済依存したままでは独立がかなわないので、中国の資源開発を歓迎し、中国人が大量移住する状況で独立しようとしており、それが米国の警戒心を強めています。中国に北極圏での軍事力、資源開発をさせてはいけないということです」(同)
トランプ氏としては本当にグリーンランドを欲しいのもあるだろうが、発言一つでデンマークがグリーンランドの防衛予算を増やすのだから、すでに発言の効果が十分にあったといえるだろう。
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