【吉田秀彦連載#17】1R50秒で終わった佐竹雅昭さん引退戦…自分にも言い分が
東スポWEB / 2025年1月6日 16時9分
【波瀾万丈 吉田秀彦物語(17)】2002年大みそかにさいたまスーパーアリーナで行われた「INOKI BOM―BA―YE 2002」では佐竹雅昭さんの引退試合に対戦相手として出場。フロントネックロックを決めて1ラウンド50秒で勝ちましたが「早く終わらせ過ぎだ」と各方面からブーイングをくらいました。
ただ、自分にも言い分はあります。格闘技の試合は、ゴングが鳴ってあいさつの代わりに、グローブでタッチして始めるじゃないですか。自分もタッチにいったら、いきなり佐竹さんの後ろ回し蹴りが飛んできたんです。それで自分のボディーに命中…。いきなり不意を突かれて腹が痛い上に、ムカつきましたね。それでキレました。
長くK―1で活躍された佐竹さんの引退試合だったし、こちらも「盛り上げてやろう」と思って試合に臨んだんです。それなのに不意打ちですから。自分も「早くやらないと、やられるな」と体が動いて組みにいったらチャンスがあった。たまたまフロントネックロックが入り、自分としては「参ったはしないだろう」と思っていたんですが、相手がタップして早く終わってしまった。
試合後にバラさん(大会プロモーターの榊原信行氏)から「ヨッシーさ、もうちょっとだけ、テレビ中継のこと考えてくれない?」と言われました(笑い)。でも、自分は「わかりますけど、これは真剣勝負ですよ。やらなきゃ、やられちゃいますから」と答えましたけれど。
03年になると、PRIDEミドル級グランプリ(GP)に参戦します。タイトルにはこだわりはありませんでしたが、当時のPRIDEミドル級はとんでもなく強い選手ばかり。ヴァンダレイ・シウバ、マウリシオ・ショーグン、桜庭和志、クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン…。そんな怪物たちとよく戦ったなと思います(笑い)。
格闘技デビューから1年後の8月10日、さいたまアリーナ。トーナメント1回戦の相手は田村潔司選手でした。
この試合で、はっきり覚えているのは試合中に記憶が飛んだということです。開始早々に田村選手の左フックが当たって腰から砕け、後ろに倒れました。自分としてはパンチが効いて意識が飛んだのは初めて。柔道の試合でも意識が飛んだことはない。パッと上を見たら、田村選手が飛んできて、さらにパンチを放ってきた。正直に言って「ヤバい。もうダメだ」と思いましたね。
この試合が自分にとって総合格闘技3戦目。しかも相手はミドル級でトップクラスの田村選手ですから、今思えば「そんなに早く戦っていたんだ」という感じです。何とか相手と離れてダメージを回復させ、最後は袖車で勝ちましたが、苦しい試合でした。
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