【吉田秀彦連載#21】03年大みそかホイス・グレイシーとの再戦は正直つまらなかった
東スポWEB / 2025年1月14日 16時8分
【波瀾万丈 吉田秀彦物語(21)】ヴァンダレイ・シウバと充実した試合に臨めた一方で、納得のいかない試合もありました。2003年大みそか。ホイス・グレイシーとの再戦もそうでした。正直に言います。あの試合はつまらなかった。
打撃なしの前回対戦ではお互いに柔道衣と柔術着を着て戦いましたが、ホイスは柔術着を脱いできた。「絶対に脱がないだろう」と思っていたのですごく驚きました。「こういうこともありなんだ」と思いましたが、自分の柔道衣にはスポンサーの皆さんのロゴも入っているし、急に脱げるわけがない。ホイスの意図と自分の考えがかみ合わないまま、試合が終わり引き分けでした。
04年になり、自分のその後の格闘技人生に大きな影響を与える試合に臨みます。6月20日、PRIDEのさいたまスーパーアリーナ大会ではマーク・ハント(※1)と戦います。ハントはK―1から来たばかりで、パンチが強くて殴られ強い印象。「あのパンチをくらったら、それで終わりだな」と打撃では勝負しないと決めていました。
ましてハントはグラウンドをやったことがない。だからいきなりテークダウンを取ってグラウンド勝負にいきました。でも、ハントに上のポジションを取られ、攻め込まれました。最後は下から腕ひしぎ十字固めを決めて勝ちましたが、この試合は一つの転機になりましたね。自分は試合中に左肩を負傷。いつ痛めたかは覚えていませんが、フィニッシュの腕十字を取った時にはすでに痛みがありました。
試合後には強烈な痛みがあり、肩が全く上がりません。肩の腱板が断裂していました。ただ、この後も試合はあるので翌日に即手術。肩に内視鏡を入れ、割れている部分を取り、すぐに閉じました。痛みは残ったままで試合をしていくことになるんですが、左肩が壊れてしまい、ここから動かなくなった。肩の故障は癒えることなく、今も続いています。実は23年にも肩の手術を2回しました。20年近く前に負ったケガが治らず手術したんですから、いまだに状態は悪いままです。
そうした中で、04年大みそかにさいたまスーパーアリーナで行われた「PRIDE男祭り」では、ルーロン・ガードナー(※2)と対戦。この試合は全くかみ合いませんでした。向こうは慎重で殴られるのが嫌だから前に出てこない。体はでかくて力も強いから、どうしようもない。判定で負けましたが、この試合もホイス戦と一緒。戦っていて「つまんねえなあ」でしたね(笑い)。
※1 01年K―1ワールドGP覇者。総合格闘技転向後は世界最高峰の米UFCでも活躍した。
※2 シドニー五輪レスリング男子グレコローマン130キロ級金メダル。同決勝ではアレクサンダー・カレリンに土をつけた。
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