【吉田秀彦連載#23】小川直也先輩の左足首は折れていたのに…試合後リング上で驚愕!
東スポWEB / 2025年1月16日 16時5分
【波瀾万丈 吉田秀彦物語(23)】2005年大みそかにさいたまスーパーアリーナの「PRIDE 男祭り 2005 頂―ITADAKI―」で小川直也先輩との一戦に臨みました。この試合で、初めて柔道衣を脱ぐことにしました。
柔道経験者同士で相手は裸なのに、自分が柔道衣を着たままならすぐにつかまれて、めちゃくちゃ不利になる。まして柔道時代の小川先輩の力を知っているので「柔道衣を着たら絶対やられるな」と決めました。ただ殴り合いになったら「俺は引かない」とも思っていました。グラウンドでは決着がつかないと考えていたし、それまで自分には総合格闘技の経験があったので、殴り合いにきてほしかったですね。
柔道時代の小川先輩のイメージは「デカくて力強い」。でもゴングが鳴って、実際に組み合った際には「小川先輩、痩せてる!」と思って、柔道時代ほどの力強さは感じられませんでした。柔道時代は130キロあった体重をプロレスに入って落とし、100キロちょっとしかなかったのだから「痩せてる」と感じたのは当然でした。
自分がテークダウンを取ってグラウンドへ。左足をヒールホールドで決めました。その瞬間「ボキッ!」と音がしました。レフェリーにも聞こえただろうし、後で確認したらテレビ中継でも音が入っていました。そのときに「勝った」と思いましたが、小川先輩は「参った」をしない。タップしないので逆に「どうしよう?」。実際に小川先輩の足首は折れていたのですから。危険な状態だったのでレフェリーは試合を止めるべきでした。
そこからはまた試合が続いたので、ただただ疲れました。今思えば当時小川先輩が37歳で自分は36歳。2人とも「オヤジ」になっていましたから(笑い)。最後は腕ひしぎ十字固めでレフェリーストップ勝ち。「終わって良かった…」とだけ思いましたね。
試合時間は6分4秒? いやいや、何を言うんですか。6分はしんどいですよ。小川先輩は痩せていたとはいえ、力が強いし、自分も何発かいいパンチをくらいましたから。試合内容としても殴り合いがあって、グラウンドの攻防もあって良かったのでは。真剣勝負ですから、何より勝てて良かった。
ところが…試合後に驚くことがありました。気がついたら負けた小川先輩がマイクを握って話し始めたんです。普通は負けた選手が、リング上でマイクパフォーマンスなんてしないじゃないですか。「ちょっと待って! マイクは俺でしょ!」って(笑い)。おまけに「ハッスルポーズ」まで要求されるし。だから「ああ、小川先輩はやっぱりプロレスラーなんだ。きちんと仕事に徹しているな」と感じたことは覚えています。
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