阪神・青柳晃洋が米フィリーズとマイナー契約 「お金を凌駕した」夢舞台への切符
東スポWEB / 2025年1月19日 5時7分
不器用で何が悪い――。ポスティングシステムを利用し、米フィリーズとマイナー契約を締結した阪神・青柳晃洋投手(31)が、18日に自主トレ地の静岡・愛鷹球場で報道陣の取材に応対。過酷な生存競争を強いられるであろうマイナーでの戦いに向け「ルーキーの頃のような気持ち。与えられたところで結果を出し続けるしかない」と意気込みを語った。
2015年のドラフト会議で阪神に5位入団。制球に課題を抱え、フィールディングにも大いに難があった右腕は、不器用を絵に描いたような22歳だった。それでも地道でガムシャラな努力をひたすら積み重ね21~22年は2年連続となる最多勝のタイトルをゲット。多くの後輩にも慕われ、チーム内で確固たる立ち位置を築いた。
フィリーズとの契約はタイムリミットとなる18日の午前7時(日本時間)の「1、2時間前にようやく決まった」とのこと。年俸や詳細な契約内容なども「まだ把握できていない」がメジャー契約の締結は直近2シーズンの成績が振るわなかったことも響き、かなわなかった。昨季の年俸2億1000万円(推定)からの大幅なサラリーダウンは避けられそうにもない。
それでも全てを捨てて、水平線の向こうに待つ夢を追うことを決めた。「自分ひとりで決めたこと。米国の野球に触れてみたかった。厳しい戦いになるが自分の中で新しい挑戦になる」。このまま日本球界に残った方が〝楽〟であることは青柳本人も重々承知している。それでも敢えて、不器用な生き方をまたも選んだ。
自分の不器用さを正面から直視できたからこそ成長できた。大の苦手としていたフィールディング時の一塁への送球は、ワンバウンドの球を意識するようになってから大きく改善。周囲から笑われても、格好をつけている余裕などなかった。そうやって前に進んできた。31歳になり、家庭を持った今も「お金以上のものを、経験が欲しかった。自分の中で勝負したい気持ちがお金を凌駕した」と語る。
上手くいくかどうかは分からない。それでも戦いのリングに上がる権利は手に入れた。目の前の現実と、激しくも不細工な打ち合いを演じてみせる。これまでもそうだったし、これからもそれは変わらない。
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