【初場所】豊昇龍も綱取り絶望的 秀ノ山親方が指摘する〝心の乱れ〟「心技体のバランス崩れている」
東スポWEB / 2025年1月21日 6時7分
まさかの共倒れだ。大相撲初場所9日目(20日、東京・両国国技館)、大関豊昇龍(25=立浪)が平幕の平戸海(24=境川)に屈して痛恨の3敗目。綱取りに失敗した大関琴桜(27=佐渡ヶ嶽)に続き、豊昇龍までもが絶望的な状況となった。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(40=本紙評論家)は、豊昇龍が失速した要因を徹底分析。横綱照ノ富士の引退による〝心の乱れ〟を指摘した。
豊昇龍の綱取りに赤信号が点灯した。立ち合いから突き起こしにいったが、足が出ない。平戸海にいなされて体勢を崩すと、両手をバッタリと土俵についた。取組後の支度部屋では取材に応じなかった。先場所は13勝を挙げて優勝次点。今場所の成績次第では横綱昇進の可能性があった。しかし、前日8日目から痛恨の連敗で3敗目。首位とは3差に広がった。
仮に残り6日間を全て勝っても、12勝どまり。過去には大関貴ノ花(のちの横綱貴乃花)が1993年夏場所で勝を挙げて優勝し、翌場所勝(決定戦でV逸)で昇進を見送られた例もある。豊昇龍の3敗は、いずれも平幕が相手。今場所で優勝したとしても、綱取りは来場所以降へ持ち越される公算が大きい。中盤で失速してしまった理由は、どこにあるのか。
秀ノ山親方は「序盤は自分のリズムで落ち着いて相撲を取れていたが、5日目に苦手の熱海富士に負けてから歯車が狂い出した。攻めてはいるけど、攻め急いで相撲が雑になっている印象。平戸海戦も上体だけ突っ込んで、足がついていかなかった。気持ちだけが先走って、心技体のバランスが崩れてしまっている」と相撲内容を分析する。
今場所は「ダブル綱取り」として注目を集めた中、先場所優勝の琴桜は序盤につまずいて早々と脱落。6日目には一人横綱の照ノ富士が引退する一大事もあった。わずか数日間で、豊昇龍一人だけが期待を背負う状況へと事態は急変。秀ノ山親方は「横綱もいなくなり、責任感や重圧が増したのでは。綱取りのプレッシャーを自分で余計にかけてしまった部分があるのかもしれない」と精神面の要因を指摘した。
ただ、ここで綱取りの望みが完全に途絶えてしまったわけではない。今場所の残りの相撲内容と結果次第では、来場所以降の再挑戦につながる可能性もある。秀ノ山親方は「何よりも大事なことは、慌てずに自分の相撲をしっかり取り切ること。余計なことは考えず、開き直るぐらいの気持ちでいけばいい」とアドバイスを送った。
優勝争いは幕内金峰山(木瀬)が全勝で単独首位を走り、2敗までの4人は全て平幕勢が占めている。豊昇龍はここから意地を見せることができるのか。残り6日間で、大関としての真価が問われることになりそうだ。
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