【吉田秀彦連載#25】PRIDEがUFCに買収されお先真っ暗「格闘技人生も終わりに…」
東スポWEB / 2025年1月21日 16時12分
【波瀾万丈 吉田秀彦物語(25)】ミルコ・クロコップに敗れた2006年は大みそかにジェームス・トンプソンと戦いました。この試合もかみ合わなかったという苦い思い出があります。
トンプソンは巨体の選手でしたが、打撃が得意とか、寝技が得意とかこれといった特長が見えず、やりづらかった。だから「デカい相手とは、打撃で打ち合うしかない」と考え、この試合でも柔道衣を脱ぎ、裸で打ち合いました。ただ…相手が大きすぎて、打ち合っても手が届かない。「脱がなきゃよかった…」。正直、そう思いました(笑い)。今でも思いますし、この試合は何より体が思うように動かず、前に出られませんでした。
1ラウンド7分50秒でセコンドがタオルを投入してTKO負け。試合後は内臓疾患で入院することになりました。自分では体にダメージがある感覚はなかったんですが、検査の数字では腎臓の機能が低下していました。点滴を打っても尿が出ず、ひたすら水を飲んだ記憶があります。そして、このトンプソン戦が、自分にとってPRIDEのリングでは最後の試合となってしまうんです。
榊原信行さんは、プロモーターとして自分とずっと向き合ってくれました。試合前にトイレで会っても「ヨッシー」と声をかけてくれたし、直接話もしました。自分には他の誰より信頼感がありましたね。素晴らしいプロモーターだとは思いますが、ある日突然「PRIDEをやめる」って…。いやいや、それはないでしょう!(笑い)。いきなりその日から、選手はみんな無職になったんですから。
PRIDEが、米国の総合格闘技団体UFCに買収されたんです(※)。07年の春に突然、選手が集められて事情説明がありました。自分はテレビの収録を終えた後、集合場所に向かった記憶がありますが、榊原さんから「代表してひと言、言ってほしい」と。
もうビックリですよ。「何に対して、何を言ったらいいんだ」と思いましたね。まずは、こうした事態の意味がわからなかった。てっきり自分は「UFCと一緒にやっていくのかな」と思い、言われるがまま、聞いたまま話しました。でも、今でもみんなに何を言ったか、全く覚えていないんですよ。まあ、支離滅裂な内容だったことは間違いないですが(笑い)。
ゆっくり頭の中を整理していくと「PRIDEはなくなったんだ」と理解できました。それと同時に「俺ら、試合がなくなったんだ」と。自分には「UFCで戦っていく」なんて、考えは全くなかった。「どうしようか…」。そう考えた自分は「もう格闘技人生も終わりに入ったな」とも思いましたね。
※ 07年3月27日の会見でUFCオーナーのロレンゾ・フェティータ氏がPRIDEを傘下に収めたことを発表した。
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