米野球殿堂入りイチロー氏 満票ならずも色あせないこれまでの軌跡…７月に式典出席へ

真夏の祭典でも主役を務めた。０７年７月１１日にＡＴ＆Ｔパーク（現オラクル・パーク）で行われたオールスター戦にア・リーグの「１番・中堅」で先発出場し、５回に史上初のランニング本塁打を放った。３安打２打点で日本選手初のＭＶＰを受賞した。

最も記憶に残っている一発は０９年９月１８日の本拠地ヤンキース戦でリベラから放った１０号だ。１―２の９回二死二塁で初球のカットボールを捉え、高々と右翼席に運んだ。日本選手初の逆転サヨナラ弾だった。

現役最後の舞台は１９年３月２１日の東京ドームで行われたアスレチックスとの開幕第２戦だった。試合中に「イチローが第一線を退く意向」というニュースが流れると騒然。８回裏に一度守備に就いて交代が告げられると球場全体がスタンディングオベーションに包まれた。

現在は次世代の育成に力を注いでいる。マリナーズではマイナー選手らと汗を流し、２０年１２月の智弁和歌山から始まった高校野球指導は５年連続で、昨年１１月の母校愛工大名電で１１校に達した。２１年から引退後に結成した「ＫＯＢＥ ＣＨＩＢＥＮ」とともに高校野球女子選抜と毎年対戦。情熱は現役時代と変わらない。

７月２７日（同２８日）にニューヨーク州クーパーズタウンで行われる殿堂入り式典に出席する。

【米野球殿堂選出方法】全米野球記者協会（ＢＢＷＡＡ）に１０年以上在籍した記者に投票資格が与えられ、最大１０人に投票可能。７５％以上の得票で選出される。５％以下、もしくは殿堂入り資格を得てから１０年を超えた場合は資格を失う。日本選手では２０１４年に野茂英雄氏（６票、１・１％）、１８年に松井秀喜氏（４票、０・９％）が候補者入りしたが、１年で資格を失っている。