自主トレ取材で痛感“時代の波”選手が力説「この角度でバットを出してスイングスピードを上げれば…」
東スポWEB / 2025年1月27日 11時38分
【球界こぼれ話】例年通り、1月はプロ野球選手の自主トレを各地で取材させてもらった。この時期の選手はまだシーズン前ということもあり、比較的余裕がある。会話の内容は自然と普段あまり語らないオフの過ごし方や独自トレーニングの話題が多い。そんな話を興味深く聞いていると、自主トレも時代とともに大きく変貌を遂げていることを痛感させられた。
例えば選手が取り組む練習内容もその一つで、10年ほど前の自主トレといえば、主に長いシーズンに備える体力強化や弱点克服に主眼が置かれていた。ところが、昨今は多くの選手が蓄積したデータをもとに自身の「数値向上」に励む姿が目立つ。打者なら打球速度、投手なら直球の回転数増などが顕著だろう。
先日、自主トレ中の打者に話を聞いた際も即座にバットの進入角度や打球速度について言及。聞き慣れない数値を挙げながら「この角度でバットを出してスイングスピードを今より数キロ上げれば、確実にホームランは増えると思う。何とかキャンプ前までにその数字を常時出せるようにしたい」と意気込んでいた。
選手らは目標数値を球団内のデータ班から収集。一部選手は野球専門サイトなども参考にして自己分析を試みているというから「時代が変わった」と言うしかない。ただ、こうした選手の急速な「数値至上主義」。背景にはプロ入り前の教育現場の影響も大きいという。
元コーチの球界OBが先日、その理由をこう説明してくれた。
「昔と違って今は各選手の能力を収集できる機器が誰でも比較的容易に手に入るようになった。そのためか、最近の野球強豪校や名門大学などでは情報収集機器を積極的に活用。各選手の能力をデータ化することに力を入れている。そんな環境下で育った選手たちが次々とプロ入りしてくるわけですからね。自主トレでも数値向上に力を入れる選手が増えるのは当然でしょう」
その上で今後についてはこう続けた。
「現在は大谷(ドジャース)らメジャーの一流選手も集積させた数値やデータをフル活用して成果を上げている。今の選手はそういう先輩選手たちに憧れを抱き、マネをすることもありますから。そう考えると選手たちが自主トレ期間から数値やデータを重んじる傾向は今後さらに強くなっていくはずです」
根拠のない精神論より偽りのない数値を重視。自主トレ現場にもデータ化の波は着実に押し寄せている。
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