八潮市〝道路陥没〟で初動ミス指摘 防災アナリスト「消防の大失態だ」 全国に危険地帯
東スポWEB / 2025年1月30日 12時53分
埼玉・八潮市の交差点で道路が陥没し、トラックが転落した事故で、28日の発生から2日たっても74歳の運転手男性を救助できなかったことで、地元消防のお粗末な対応に怒りの声が上がっている。また政府は国土交通省を通じ、全国の下水道管理者に緊急点検を要請したが、同様の陥没が起きかねない〝落とし穴〟の恐怖が広がっている。
「今回の事故はある意味、消防の大失態。初動対応を誤ったのがすべてです。もっと大規模救助活動ができていれば、運転手を早く救助することができたはず」と喝破したのは防災アナリストの金子富夫氏だ。
道路陥没でトラックが転落したとみられるのは28日午前9時40分ごろ。直径約10m、深さ約5mの穴にトラックが突っ込んだ形で転落し、当初は男性と会話ができる状態だった。
地元の草加八潮消防局が出動し、救助を試みたが、穴の中で土砂が崩落し、隊員2人が負傷し、救急搬送された。午後4時過ぎには建設用クレーン2台でトラックをつり上げようとしたが、うまくいかずに午後8時過ぎに別のクレーン2台でつり上げを試みたが、途中でワイヤが切れてしまった。
29日午前1時過ぎには2度目のつり上げとなったが、すぐ近くで別に直径約10mの新たな陥没が発生し、和食店の看板が倒れるなどして、作業は中断。午前3時にトラックの荷台部分だけがつり上げられたが、運転席は穴の中に取り残されたままだった。
午後にさいたま市消防局の特別高度救助隊(さいたまブレイブハート)と東京消防庁の消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)が応援要請を受けて、現地入りしたが、新たな陥没やガス漏れなどの二次災害の恐れがあり、救助活動は難航するばかりだった。
金子氏はこう指摘する。「救助活動隊員が救助されるなど本来あってはならない事態です。経験がないから、ただただ穴の中をのぞいているばかりです。(出動した)草加八潮消防は規模が小さい消防本部で、対応には限界があります。早期の段階で手に負えないと判断し、広域応援派遣要請を行うべきでした。ハイパーレスキューの救助活動は世界一です。被害が拡大する前に運転手は早期に救助できた可能性はありました。結局はメンツを重んじて、自分たちでやってしまおうとなってしまった。災害のたびに問題となるが、市町村消防体制から47都道府県消防本部体制に変えていかないといけない」
今回の道路陥没は地下10mにある下水管が破損し、大量の土砂が管の中に流れ込んだことが原因とみられる。事故を受けて、橘慶一郎官房副長官は国交省から全国の下水道管理者に対し、下水道破損などの箇所がないかの緊急点検の実施を要請したと明らかにした。
日本のインフラは老朽化が進み、点検作業が行われているとはいえ、万全に行われているとはいえない状況だ。「全国でも過去に道路陥没や車両の落下事故が起きています。地中が軟らかい、昔は畑だったような場所の道はいつどこで陥没が起きてもおかしくない。一刻も早く点検すべき」と金子氏は早期の対応を訴えた。
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