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【吉田秀彦連載#32】ヒーロー誕生へ、東京五輪は柔道界の裾野を広げるチャンスだったのに…

東スポWEB / 2025年2月3日 16時9分

プロ格闘家時代はプロレスラーの武藤敬司(右)と対談(08年12月)

【波瀾万丈 吉田秀彦物語(32)】2016年4月、髙藤直寿がパーク24柔道部に入部しました。すでに世界選手権を勝っていた彼が入ってくれたのは、海老沼匡がいたからです。2人は小学校の時、同じ道場。彼は匡に憧れていたので、先輩の後を追って来てくれました。自分の狙い通りになりましたね(笑い)。

彼が学生時代に「やんちゃ」だったのはわかっていました。ただ柔道に対する考えは真面目で柔道大好きな男。学生時代に結婚し子供が生まれたことで徐々に父親としての自覚も芽生え、精神的にも成長していく姿が見られました。そんな彼が21年東京五輪男子60キロ級で金メダルを獲得。パーク24柔道部としても初の五輪金です。16年のリオ五輪で負け、苦労しながら努力していたのはわかっていたので、すごくうれしかったです。

16年には女子部門をつくることになりました。ただ、自分は女子の指導に携わったことがなかったため、教えた経験のある監督やコーチを呼んでこないといけない。そこで園田(隆二氏)に声をかけました。

当時は警視庁にいて女子でナショナルチーム監督の経験もある。「人間性もすごくいいので、彼に任せるのなら、女子をやりましょう」とパーク24に話しました。彼が引き受けてくれて、女子部門が始まったのです。彼を慕って選手たちが入ってくれたから、今があるんですよ。

現状は自分が道場で練習を見ることがあっても男子が中心。女子は園田監督から「教えてください」と言われた時に指導するくらいですね。

学生時代は、練習をやらされていたという感があるんです。ただ社会人になると、練習をやらないと弱くなるなとか、自分へのプレッシャーがあり、自然と自分でやるようになる。うちの部にも何人もいますが、言われて練習をする選手、言わなくてもする選手といます。やりたくないなら、やらなくてもいい。ただ結果に表れる。言わなくてもやる選手には自然と結果が出ますね。

その上で、こうも思います。やっぱり人気のあるスポーツの選手は「プロ」なんです。柔道界も“セミプロ”みたいなものなので、それだったら柔道もプロ化したほうがいいと。問題はどうやってプロにするかなんですよ。現状で全日本柔道連盟はプロを認めていません。でもプロがいないと、子供たちが夢を抱かないんです。選手たちもプロではないから「勝ったんだから。賞金これだけください」と言えないじゃないですか。

プロというカテゴリーもそうですが、ヒーローをつくらないといけない。そういう意味では、東京五輪は裾野を広げるチャンスでした。そこをうまく利用できないのが、柔道界のおかしなところなんですよ。

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