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【吉田秀彦連載#33】3年後のロス五輪で「いけるな」と思うのは阿部一二三だけ

東スポWEB / 2025年2月4日 16時8分

ジュニア強化合宿で斉藤仁強化委員長(右)と談笑(14年11月)

【波瀾万丈 吉田秀彦物語(33)】2014年4月、全日本柔道連盟の強化委員となりました。東京五輪を見据え、パーク24所属の強化選手が増えてきた関係もあるでしょう。どのように選手を決めるのか、どういう考え方で選手を強化するのか。強化委員会に入ったことでわかりました。強化委員会は柔道界全体を考えないといけないですから。

一方、委員は各所属や各大学の先生たちで構成されています。どうしても自分が所属するチームの選手を考えてしまいますよね。選手を見て「彼を出したほうがいい」とわかるのですが、各先生の手前なかなか言い出しづらい。「うまくいかないな。でも仕方ないか」と思いましたね。「仕方ない」で済ましてはいけないんですが…。

21年東京五輪は地元開催で何のプレッシャーもなく、日本代表は9個の金メダルを獲得しました。それが24年パリ五輪では3個。アウェーだったことと3年がたつと他の国のレベルが上がっていました。そこは危機感を持ってやらないとダメだと思いましたね。

女子52キロ級で東京五輪金メダルの阿部詩が負けたことも「まさか」ですけど、それが五輪なんです。何が起きるかわからない。日本を背負ってプレッシャーの中で試合をする。自分も経験していますけれど、周りのプレッシャーがすごい。4年に1回、柔道が世界に注目される機会ですから。その経験ができるのは人生でプラスになりますが、その中で勝つことは本当に難しいんです。

男子66キロ級で連覇した阿部一二三はダントツに強かったけれど、本人はこれから年を取っていく中でどうやっていくかが課題ですね。基本的に彼は何も言われなくても練習をするんです。自分も、今まで何かを言ったことはないです。彼はプレッシャーを感じる環境の中で、やってきている。練習も自分で考えて計画的にやっているので心配はしていません。

特に東京五輪は、コロナ禍という厳しい環境で行われました。20年12月には講道館で、丸山城志郎とワンマッチの代表決定戦。プレッシャーの中で接戦を勝ち上がった経験が生きていますし、逆に丸山というライバルがいたから今の一二三がある。彼にはこれからもライバルは必要でしょう。

3年後のロサンゼルス五輪は「怖い」と思います。ロスで「いけるな」と思うのは阿部一二三だけですね。実業団の立場として、誰かを取ったとします。その選手が「世界選手権で3位に入るかな」と考えると「きついな…」と。それが日本の現状です。それなら4、5番手の選手を取って、たたき上げたほうが早いと感じるほど。

ロスには間に合わないけど、今後を考えたら、たたき上げで選手を育てていかないといけないと思いますね。

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