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元ソフトバンク・釜元豪さんは農業と格闘中 コメの買取価格に発奮「ふざけんなって思った」

東スポWEB / 2026年2月14日 10時5分

自家栽培した野菜を手に笑顔を見せる釜元豪さん

グラウンドを知る男は、田んぼにも立っていた。ソフトバンクで2012年に育成ドラフト1位としてプロの世界に入り、一軍も経験した釜元豪さんは、長崎県諫早市で「K.G FARM」を運営し、故郷で農業に本格的に取り組んでいる。現役10年に区切りをつけ、現在はホークス球団の野球振興部でアカデミーコーチを務めながら、父が守ってきた田んぼと畑に向き合う日々を送っている。

農業を「やろう」ではなく「やらないといけない」と思ったきっかけは、米の値段だった。父から聞いた業者の買い取り価格に、率直な悔しさがこみ上げたという。「この価格じゃ続けられない」。農業そのものではなく、価値がここまで低く扱われている現実に対して、正直「ふざけんなって思った」。作っている米は、長崎県の品種「にこまる」。粒が大きく、もちもちした食感が特徴で、暑さに強い。一方で、栽培には細かな手間もかかる。「簡単ではない。でも、条件がそろえば、この土地には合っている」。諫早の田んぼで作る意味があると感じている。

価格に左右されないため、販売方法も工夫した。問屋を通さず、飲食店への直接納品や個人向けの年間契約を増やしている。「顔が見えるのは大きい。誰が作った米か分かること自体が価値になる」。全量ではないが、直販の割合は年々高めている。田んぼだけではない。畑にも立つ。ゴーヤー、ナス、トマト、ピーマン、パプリカなど、年間を通して野菜作りにも取り組む。「野菜はとにかく人手がかかる。基本は手作業」。機械化が進む米作りとは違い、管理の大変さを日々痛感している。

自然の厳しさも容赦ない。近年は暑さが障害となり、夏野菜が夏に取れない年もあった。「一日の遅れが取り返しのつかない差になる」。米の田植えと野菜の管理が重なった年は、選択を迫られた。反省を踏まえ、露地栽培への切り替えなど工夫を重ねている。収穫から選別、梱包まですべて自社で行う。最も神経を使うのは選別だ。「短い時間で正しい判断をしないといけない」。迷っている暇はない。野球と同じで、同じ状況は二度と来ない。

その感覚は、現役時代から変わらない。育成から支配下登録をつかみ、一軍の舞台に立った。派手さはなくとも、武器は走力と外野守備。現役最後は東北楽天ゴールデンイーグルスでもプレーし、プロ生活に区切りをつけた。与えられた役割を全うするために、準備を重ねてきた。

現在も野球から完全に離れたわけではない。球団の野球振興部でアカデミーコーチを務め、子供たちを指導している。中でも強く印象に残っているのが、春季キャンプでの出来事だ。あるとき、打撃練習中のフォームを王貞治会長がスマートフォンで撮影し、その場で声をかけてくれた。「あとで見てみなさい」。動画をもとに、直接アドバイスを受けたという。「正直、こんなことは僕だけだったんじゃないかと思いました」。特別な言葉があったわけではないが、その距離感も含め、貴重な経験として今も鮮明に残っている。

また、長谷川勇也の存在も大きかった。準備の質、日常の過ごし方、そのすべてが基準だった。現役時代に見た姿勢は、いま農業に向き合う自分の中にも生きている。農業の先に見据えるのは、地域の未来だ。地元で勝負できる場所をつくる。そのために、まずは農業で生計を立てる姿を見せる。グラウンドで培った経験を、田んぼと畑へ。釜元豪さんの第二の人生は、静かだが確かな手応えを伴って進んでいる。

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