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大混乱のレオパレス21など住宅系サブリースのカラクリと株価低迷の要因

LIMO / 2019年3月11日 21時15分

大混乱のレオパレス21など住宅系サブリースのカラクリと株価低迷の要因

大混乱のレオパレス21など住宅系サブリースのカラクリと株価低迷の要因

テレビ東京の「ガイアの夜明け」で取り上げられた、界壁施工不備問題で揺れるレオパレス21。この問題によって、物件所有者らからの損害賠償、そして評判悪化による空室リスク増加などによる業績悪化懸念から、株価が1カ月で約50%暴落しています(2019年2月28日現在)。

しかしながら、この界壁不備の問題が取り沙汰される以前から、レオパレス21、大東建託、東建コーポレーションなどいわゆる「住宅系サブリース」を営む企業の株価は芳しくありません。

大小さまざまな理由が考えられますが、不動産業の中でも特に住宅系サブリース業者に対する逆風が立て続けに起きていることが主な原因であろうと考えられます。一体何が起きているのでしょうか。

そもそも住宅系サブリースとは何か?

住宅系サブリース業者のビジネスモデルは概ね以下のようになります。

土地オーナーにアパートの建設を持ち掛け、建設を請け負う

建設したアパートをサブリース業者がオーナーに対し家賃保証を行い、一括で借り上げる

サブリース業者は、借り上げたアパートを転貸し、家賃収入を得る

よってサブリース業者の主な収入源は、以下の二本柱になります。

土地オーナーからアパート建設を請け負う際の「建設受注」

転貸による家賃収入と土地オーナーに支払う家賃保証の差額である「家賃の利ザヤ」

以上よりサブリース業者は、土地オーナーにたくさんアパートを建設してもらい、そのアパートに多くの方に入居してもらって家賃の利ザヤを大きくすることができれば、儲けを増やすことができるわけです。

それでは、そのようなビジネスに対しどのような逆風が吹いているのか見ていきましょう。

銀行による不動産融資の引き締め

多くの銀行は2017年頃まで、賃貸住宅の建設を主目的とするアパートローンなどの不動産融資を積極的に行ってきました。なぜなら日銀の金融緩和による超低金利化によって、銀行の主要な投資先である日本国債への投資妙味が少なくなったため、その資金の活用先が不動産融資に向いたからです。

しかしながら2017年に入ると、不動産融資に過熱感が出てきたところから金融庁が監視を強化し始めました。監視強化により、銀行から見ると融資に対する手間やコストが増えるわけで、当然ながら融資に対するインセンティブは減少します。実際、銀行によるアパートローン向け融資は鈍化をし始めました(参考:貸出・マネタリー統計 19年1月、ニッセイ基礎研究所)。

アパート建設は多額の資金を必要とするため、アパートローンを組むことが通常です。つまりアパートローンの借入ができないとなると、当然アパートの建設も今までより難しくなります。サブリース業者から見ると、ビジネスの柱であるアパート建設受注や入居者数の成長率にマイナス材料となるわけです。

そんな中で2018年に起きたのが、かぼちゃの馬車の破綻とスルガ銀行の不正融資問題です。

シェアハウスであるかぼちゃの馬車を運営するスマートデイズという会社が、2018年に倒産しました。この会社は住宅系サブリース業を営んでおり、シェアハウスのオーナーに家賃保証を行っていましたが、その家賃を支払うことができず、オーナーは多額の負債を負ってしまいました。

そのオーナーに主に融資していたのがスルガ銀行です。スルガ銀行は、書類を改ざんし銀行内の審査プロセスを欺くなどし、不正に融資を行っていることが明るみになりました。

これを受けて、金融庁は不動産融資に対する監視を強化することとなりました。上記でも述べた通り、当然サブリース業者にさらなるマイナス材料となったわけです(参考:『投資用不動産、融資調査を強化 金融庁が行政方針 地銀の不正問題視』2018年9月27日、SankeiBiz)。

人口動態と空室率上昇への懸念

そもそも日本は2004年をピークに人口が減少し続けており、2050年には1億人を下回ると予想されています。にも関わらず、賃貸用アパートの新規着工はここ数年大きな伸びを記録してきました。その一因は2015年に相続税が増税されたことにあります。

サブリース業者にとって「相続税の節税効果」は、営業する際の常套文句です。たとえば、現金を5000万円そのまま相続するよりも、5000万円分の不動産を相続する方が相続税率が安いため節税効果が高いというわけです。

相続税増税が行われたことで、この節税効果が脚光を浴び、賃貸アパートの新規着工は大きく伸びました。結果、サブリース企業の株価も2015年以降大きな上昇を見せました。

しかし人口減少しているにも関わらず、住宅の供給が増えるということは空室率上昇のリスクも大きくなるわけです。サブリース業者は土地オーナーに家賃保証をしているため、空室率が高まれば家賃収入の減少により「家賃の利ザヤ」が少なくなって業績にマイナスの影響を与えます。

たしかに契約上、サブリース業者はオーナーに対して家賃保証の減額を行うことができる場合がほとんどなため、家賃保証額が家賃収入額を上回る「逆ザヤ」を回避することは可能です。しかしながらそのようなことが頻発すれば、土地オーナーから見ればアパート建設をすることの魅力が減少します。空室リスクが高まれば、結局サブリース業者の業績にはマイナス要因となるわけです。

株価は将来の業績成長の期待を反映します。以上のように、サブリース業者の業績成長へ懸念が高まるような問題や事象が起きていることが、サブリース業者の株価が低迷している要因と考えられます。

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