「この赤ちゃんかわいそう!」「産まなきゃよかったのに」…なんでそんなこと言うの?
LIMO / 2019年3月22日 10時45分
「この赤ちゃんかわいそう!」「産まなきゃよかったのに」…なんでそんなこと言うの?
近しい人に、あるいはまったく見ず知らずの人に、「それ、子どもがかわいそうだからやめてあげなさい」「子どものために○○してあげなさい」なんて唐突に言われたことありませんか? 言った本人にすれば、「子どものことを思って」という大義名分があるのかもしれませんが、言われた方はモヤモヤが残ります。
それはなぜか? なぜなら、発言者の「これが正しい」が、「あなたは母親失格」という烙印を押しているかのように聞こえるからです。
私はかわいそうなことをしているの?
筆者の娘が生後半年ごろのことです。実家へ帰省するために、娘と新幹線に乗っていました。娘が眠くなりぐずりだしたので、筆者は娘を抱っこひもで抱え、デッキに立っていました。当時、娘は抱っこひもでひとしきり泣いてから眠りについていたのです。
新幹線の揺れも手伝ってくれ、娘は普段よりも短く泣いてから、寝入ってくれました。娘が寝入ったのを見届けてから車両に戻り、席に着いた私に女性が近づいてきました。
車両はガラガラにもかかわらず彼女は私の隣に座り、こう言いました。
「ねぇあなた、こんなにも空いているんだから、赤ちゃんを座席に座らせてあげなさいよ。伸び伸びさせてあげればいいじゃない、かわいそうに、そんな窮屈な思いをさせて…。さっきまで赤ちゃん泣いていたじゃない、どうして出してあげないの? かわいそう…」
あまりに突然の出来事に唖然としていると、新幹線はホームに到着。その女性は、「あぁ、本当にこの赤ちゃんがかわいそう!」と言い残して列車を降りていきました。
最初は何が何だかわからなかったのですが、時間がたつにつれて怒りがこみ上げてきました。そしてその後、深く落ち込んだのです。「私は、見ず知らずの人に、子どもが可哀想だと思われるような育児をしているのだろうか…」と。
もう7年も前の話になりますが、今でもふと思い出し苦い気持ちになることがあります。
「かわいそう」に振り回されないで
市販のベビーフードを購入したら「なんで離乳食作ってあげないの? 手抜きして赤ちゃんがかわいそう」。どうしても体調が悪くて数日外出できなかったら「公園にも連れてってあげないで…かわいそうに」。
寒い冬、ベビーカーに乗っている子どもが、何度履かせてもすぐに靴下を脱いでしまうから、仕方なくそのままにしていたら「こんな寒いのに裸足で…かわいそう」。「たまには子ども預けて飲みに行きたいな」なんて言ったら「私が子どもが小さいときは、そんなこと考えもしなかった。子どもより自分の気持優先なんて子どもがかわいそう」。
一見、子どものためを思っているように聞こえる「かわいそう」というひと言が、母親のストレスになってしまうのです。
ちょっとでも「疲れた」「もうしんどい」などと言おうものなら「じゃあなんで産んだの?」「あなたが望んだんでしょう? 無責任な」…。
母親は効率よく育児をしてはいけないのでしょうか? 少しでも自分の心と体が楽になるように…と思うことがそんなにいけないことなのでしょうか? 世の中には「そんなことしたら、言ったら赤ちゃんがかわいそう」という言葉に苦しめられている母親は数多くいるのです。
「子育てはしんどい」「できればもう少し楽をしたい」というのは本音。しかしその後に「でも、子どもが好きだから頑張れる」という思いがあるのが前提です。ベビーフードを購入したときに、外遊びができなかったときに「ごめんね」と胸が痛んでいるのが事実です。
「たまには飲みに行きたいな」「たまにはひとりで外出したいな」と思わず口に出しても「でも、今は無理だから、あと少し頑張ろう」と自分で自分を奮い立たせているのです。
しかし、「かわいそう」「無責任」と言っている人たちは、「愛情がない」「母性がない」と決めつけている。いくら反論しても聞く耳を持たない。これじゃあ母親は息が詰まってしまいます。
「かわいそう」「無責任」という言葉には耳をふさいで目を閉じて。できるだけストレスは少なめに子育てをしたいものです。
あなたの子どもは、世界一幸せなんです
もし、「子どもがかわいそう」「じゃあ産まなきゃよかったのに」なんて言う言葉を目にしたり、耳にしたりしたら、子どもを抱きしめてこう言ってみましょう。
「ねぇ、ママのこと好き?」
きっと子どもたちはこういうはず。「うん、大好き!」
もしくは、にっこりほほ笑んでくれるはず。ほら、あなたの子どもは、世界一大好きな人と一緒にいられる、世界一幸せな子どもなんです。
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