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悲しい運命のニワトリを幸せに...用無しになったメンドリを引き取った家族

LIMO / 2019年3月15日 21時10分

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悲しい運命のニワトリを幸せに...用無しになったメンドリを引き取った家族

ニュージーランドのスーパーマーケットで卵売り場に立ち寄ると、広く取られたスペースに置かれた棚にびっしり並ぶ商品はバラエティーが豊富です。卵自体のサイズやパッケージの大きさだけではありません。卵を産んだニワトリの飼育方法でも数種類あるのです。

最近、人々はアニマルウェルフェア(動物福祉)に敏感です。私が食べる卵を産んでくれたニワトリは幸せかしらと気になるのです。

「ケージ飼い」ニワトリの悲しい半生

採卵用のニワトリには、「ケージ飼い」「平飼い」「放し飼い」などの飼い方があります。「ケージ飼い」は、ニワトリをケージの中に閉じ込めたもの、「平飼い」は飼育場内で地面に放し、運動できるようにしたもの、そして「放し飼い」は、広々とした敷地内を自由に歩き回ることができるものです。

最近は値段は割高ですが、放し飼いされたニワトリの卵が人気です。ケージ飼いの劣悪な環境はニュースなどで盛んに報道され、庶民にもよく知られています。スーパーによってはケージ飼い卵を置かない努力を進め、政府は鶏卵業界にケージ飼いを2022年までに廃止するよう求めているほどです。

ケージ飼いでニワトリは運動不足になることはもちろん、骨折もしやすくなります。羽を広げることができないために、ストレスも溜まります。何段にも重ねられたケージでは上段から下段にフンが垂れ、下にいるニワトリが皮膚病になることも多いそうです。

過酷な状況で生きるケージ飼いのニワトリには、さらに厳しい運命が待っています。ケージ飼いをする鶏卵業者は、卵を産む数が減ってきたニワトリに用はありません。でも、寿命まではまだあります。さて、どうしたものでしょう?

こんな時、行き場を失ったニワトリを助けにはせ参じるのが、動物保護団体です。すべてを引き取ることはできませんが、極力多くを救出します。

ニワトリも人も幸せになれるよう配慮

以前筆者が別の町に住んでいた時、郊外に4羽のメンドリを飼う、動物好きの知り合いがいました。門を入っていくと、メンドリたちは我先に「よく来た、よく来た!」と言わんばかりに一斉に走り寄ってきて、歓迎してくれます。

元気なその姿からは想像もつきませんが、実はメンドリたちは、国内の動物保護施設の1つ、「アニマル・リホーミング」からやって来ました。以前鶏卵場でケージ飼いされていたニワトリなのです。

知り合いが施設のスタッフに聞いたところでは、ケージから出してもらい、施設にやって来た時のメンドリたちはみじめな姿だったとのこと。羽は抜け落ち、爪は伸び放題、くちばしは欠けていたそうです。そしてニワトリなのに、ニワトリの習性を失っていたといいます。

スタッフの根気よい世話のおかげで、再び草を食べ、羽根を広げ、歩き、止まり木にとまり、砂浴びができるようになったのです。

引き取ろうと考えた知り合いは、まず予定している飼育エリアの写真を撮って、申し込みをしました。そしてさらに「家が都市部に位置していないか」「すでにニワトリを飼っているか」「ほかにペット動物がいるか」などの質問を受けたそうです。

隣家が近いと、鳴き声がトラブルのもとになります。ほかにすでにいるペットたちとの折り合いも考えなくてはいけません。人にとっても、ニワトリにとっても幸せであることが肝心です。こうして知り合いはメンドリ4羽を家族として迎えました。

メンドリがメンドリらしくなっていく

同施設からニワトリを引き取るのにお金はかかりません。私たち人間同様、ニワトリといっても1つの命。命には値段をつけられないという方針です。その分のお金で、受け入れ先の家庭はニワトリに必要なものをきちんと揃えるのが条件なのです。

不幸な生い立ちを経たメンドリたちだからこそ、これからは幸せにしてやりたいもの。栄養価の高いエサを、欠けたくちばしでも食べられるよう工夫するのはもちろん、羽がないために余計に感じる寒さへの対策をしたり、タカなどの天敵に狙われないよう守ったりと気を配ります。

知り合いはそれでも苦にならないと言います。むしろ世話をしてやって、メンドリがメンドリらしくなっていく姿は感動的だとのこと。見かけによらず、ニワトリはなかなか社交的な動物だそうで、家族の誰とでもすぐに「仲間」になり、意思疎通ができるとか。時々産んでくれる卵は「ご褒美」と笑います。

残念ながら、元ケージ飼いのニワトリたちはあまり長くは生きられず、5、6年の命といいます。私たちのために、おいしくて栄養価の高い卵を産んでくれたニワトリたち。余生ぐらい、人間の手でのんびりした生活を送らせてやってもいいのではないでしょうか。

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