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去っていくお客様のつなぎとめ方〜「恐怖の卒業モデル」をストックビジネス化する

LIMO / 2019年3月16日 20時20分

去っていくお客様のつなぎとめ方〜「恐怖の卒業モデル」をストックビジネス化する

去っていくお客様のつなぎとめ方〜「恐怖の卒業モデル」をストックビジネス化する

成長し続けるビジネスの仕組みである「ストックビジネス」についてお伝えしていく本シリーズ。今回は「恐怖の卒業モデル」というテーマを取り上げます。

「恐怖の卒業モデル」とは?

「お世話になりました。ありがとうございます」と感謝の言葉を残して去っていく・・・。感謝ですから悪いこととは思えませんが、お客様が去っていくのはなんとも厳しい現実です。

そもそもストックビジネスとは、「連続性があり時間経過とともに収益が積み上がるタイプのビジネスモデル」です。そして、お客様の利用が継続することでどんどんストックになる感覚がわかってくると、お客様が卒業してしまうことに悩みが出てきます。つまりこの卒業モデルはストックビジネスを作る際に大きな壁になるわけです。

基本的にストックビジネスは次の4つの分野に分けて考えます。それは、「貸す」「認める」「改善する」「消費・劣化」ですが、この中で特に「改善」の分野のサービスに卒業モデルが多いのです。

改善の分野というのは、お客様の状態が改善していくことに価値を感じて、お客様が継続して料金を支払うモデルです。たとえばコンサルティング、〇〇教室、整体などのように何かを良くする仕事のことを指します。

コンサルティングは当初”ここまで改善したい”と目標を立てて開始しますが、結果的に良くなると「ありがとう、ご苦労さま」と終了してしまいます。つまりこれが卒業というわけですね。

教育の事業なども大半は期間が決まっていて卒業してしまいますし、体が不調になって整体を受けに来る方も定期的に通って改善すると卒業してしまいます。もっとも整体の場合は、また不調になると来るのですが・・・。

こういう、やればやるほど顧客の状態が良くなって終了時期が来てしまうという、なんとも皮肉なのが「卒業モデル」です。

じゃあ、これはストックビジネスにならないのかといえば、ならないわけではありません。ただし、卒業までの期間が短ければ短いほど新規の顧客獲得にウエイトがかかりますので、「常に新規の取引の連続で成り立っているビジネスモデル」であるフロービジネスに近づいて行きます。

3カ月とか6カ月の講座ビジネスなどは最たる例ですね。いつもかなりの数の新規獲得を追いかける必要があります。

※ストックビジネスについてさらに詳しく知りたいという方は、「ストックビジネス公式サイト(https://otaketakahiro.com/)」をご参照ください。

教育事業をストックビジネスに変えていった事例

先日「実践企業インタビュー」という企画で、卒業モデルを克服してストックビジネスに近づきつつある経営者と会ってきました。実は、その時の話に恐怖の卒業モデルから脱却していくヒントがあったので、それをお伝えしたいと思います。

私がインタビューしたのは、「マネースクールIMS」という投資や金融スキルを学ぶ教育機関を経営する俣野成敏さんと堀越健太さん。

一定期間で学ぶということを繰り返していると、〇期生というように学校スタイルになるのでまさしく卒業モデルです。つまり、学ぶというスキル習得型である限りは必ず卒業モデルになってしまうのですが、そこには悩んでいたそうです。お二人はそれを脱却しようと、学んだ後に提供できる継続的な価値を探したそうです。

読者のみなさんは、その先にどんな価値があると思いますか?

たとえば金融のスキルを習得する目的から考えてみましょう。

習得したスキルで転職を有利に運びたい
習得したスキルを使ってファイナンシャルプランナーになって稼ぎたい
習得したスキルを活かして自分の資産を増やしたい
習得したスキルを使って・・・

金融のスキルと一口に言っても、幅も広く奥が深いわけです。ですから、学んだ結果一定のスキルが身に付いたのはあくまでほんの一部分。そこから先、実際にそのスキルをすぐ使えるわけではありませんので、卒業してからも受講生には課題は残っていたのです。

そこで受講生や受講修了者を対象に、相談し放題のプランを作りました。

「プロにいつでも相談できる」

これは相当な価値があると思いますが、提供する側にもリスクはあると思いませんか?

一つには分野が多岐にわたるのでひとりで全部網羅するのは難しいし、すべてを人が受ければ属人的になってすぐに限界がきてしまいます。また、相談を受ける先生によりばらつきも出てしまうでしょう。実際に相談を受ける側に相当負荷がかかる。拘束時間が長くコスト高になってしまうのです。

どうしたものかと相談の内容を調べてみると、実際には同じようなものが多いことに気がついた。そこで、相談する内容に対しての対応を標準化してプログラム化し、動画にしたそうです。対応するスタッフは相手の話を聞いて必要なプログラムを伝え、動画を見てもらうというわけです。

この方式は、きちんと人が対応することもあり満足度は高いといいます。これで、相談し放題という最もお客様にとって価値あるサービスと運営側の負担のバランスをうまくとることができたのです。

このサービスの提供価値は「安心」ですが、これが実現して安心を提供できるとお客様の求めるものが変わり、次は楽しみたいというニーズが出てきたそうです。今ではスキルを学んだ方々のコミュニティの要素が強くなり、そこでは楽しむことを皆で共有することが価値になってきました。

「卒業」のない顧客の欲求とは?

ここまでの話を整理してみましょう。

学ぶという改善分野だけでは卒業モデルですが、次に「学んだスキルを維持して使う」「資産を維持する」という、つまり守りの欲求が現れます。

この欲求に対していつでも相談に乗ることで安心してもらうという対応をしました。

安心したいという欲求には卒業がありません。そして、安心したお客様が今度は楽しみたいという欲求に対し、コミュニティで集まったり情報共有することで価値を提供。こうして卒業モデルから「継続的な価値提供モデル」つまり「ストックビジネス」に近づけたのです。

ストックビジネスを作る作業は、自分たちの強みの認識、長期的視点でのお客様の欲求探しから始まります。そして、ここから「サービスの再定義」をするのですが、今回はスキルを維持するという先に継続的価値を見つけて「恐怖の卒業モデル」からの脱却が見えてきたのです。

読者の皆さんも、ぜひ参考にして試してみてください。

<<筆者のこれまでの記事はこちらから(https://limo.media/search/author/%E5%A4%A7%E7%AB%B9%20%E5%95%93%E8%A3%95)>>

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