最新版「バフェットからの手紙」〜 資産運用の基本の”き”
LIMO / 2019年3月19日 21時15分
最新版「バフェットからの手紙」〜 資産運用の基本の”き”
ウォーレン・バフェット氏が占う「今後の投資環境」
毎年、2月下旬頃になると、米国の投資会社「バークシャー・ハサウェイ」の会長兼CEOであるウォーレン・バフェット氏は、年次報告書、いわゆる同社株主への「バフェットからの手紙」を発表します。毎回、機知に富んだ内容となっているので、日本でもバフェット氏のファンは多いことでしょう。
バフェット氏が2019年2月23日に発表した「手紙」では、「The American Tailwind(追い風を受けるアメリカ)」の章で今後の投資環境について言及しています。比喩的な表現が多く、難解ではあるのですが、言わんとすることは下記6点と考えれられます。
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「追い風を受けるアメリカ」
(1)初めて株式を買ったのは、77年前の1942年。11歳のとき、6歳から貯めた114ドル75セントで「シティーズ・サービス」の優先株を買った。
(2)1942年といえば、アメリカや同盟国が第二次世界大戦に参戦し、経済が停滞していた最悪の年だったかもしれない。しかし、その前の77年間、アメリカは素晴らしい成長を遂げていた。
(3)もちろん当時、人々は戦後経済の復興を願っていたし、実際アメリカの経済成長は予想以上になった。
(4)仮に、1942年に、114ドル75セントを「S&P500指数連動インデックス・ファンド(運用報酬なし)」に投資したとしよう。77年後の今では、それが61万ドルになっている。つまり、元本の5300倍になっているということだ。
(5)同様に、当時100万ドルを投資した年金やエンダウメント(大学基金)であれば、その資金は53億ドルになっている。一方、1%の手数料を払って運用を任せれば、その資金は26億ドルと半減する。
(6)これからも、アメリカの繁栄は想像以上であるし、当社は「節約」の心を忘れてはならない。仮に、先達がそんな資金を先食いして消費し尽くしていたら、今のアメリカの繁栄はない。
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「時間を使い、運用コストを節約する」ことが基本
本章は、アメリカはこれからも長期的に繁栄を続けていくので、長期的な観点で運用に臨むということを再確認するようにも読めますが、筆者は下記のように捉えます。
つまり、
時間を味方につければ、百戦危うからず
運用コストはなるべく低く、理想はゼロに
年金やエンダウメント(大学財団)のような大手機関投資家も、運用コストに注意すべき
(運用費用も含め)運用資金の外部流出はなるべく避けよ
ということが、運用の本質ではないかと考えます。
実はこれ、日本で運用していても同じことになるのです。仮に、30年前に100万円でS&P500指数連動インデックス・ファンド(信託報酬はなしとする)を買ったとすると、今では790万円(円ベース)になります。
しかしながら、このインデックス・ファンドの信託報酬率が年間1%だったとすると、運用資産は670万円(円ベース)に減ってしまいます(運用コストを1%払っても、S&P500指数に投資して元本が7倍近くなっていたことは、米国株の素晴らしいところではあります)。
ことほどさように、適切な投資対象になるべくコストをかけず時間をかけて運用し、運用途中で資産を引き出さないことが資産形成の正攻法なのです。
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