貯金1000万と年収1000万はどちらかが良いのか
LIMO / 2019年3月16日 18時0分
貯金1000万と年収1000万はどちらかが良いのか
年収1000万円と聞くと、高収入のイメージがあるのではないでしょうか。その一方で、「年収が高いと税金も高い」という話も耳にします。
そこで今回は、年収1000万円に対する税金事情をお伝えします!気になる基礎控除の影響も一緒にみていきましょう!
年収1000万の人の税金はいくら?
給与にかかる税金は「住民税」と「所得税」の2つ。まずは給与から各控除を引いた「課税所得額」を算出します。控除にはさまざまな種類があるため、1つずつ確認していきましょう。
基礎控除
所得税:基礎控除の38万円
住民税:基礎控除の33万円
給与所得控除
収入金額 給与所得控除額
1,625,000円まで 650,000円
1,625,001円から1,800,000円まで 年収×40%
1,800,001円から3,600,000円まで 年収×30%+180,000円
3,600,001円から6,600,000円まで 年収×20%+540,000円
6,600,001円から10,000,000円まで 年収×10%+1,200,000円
10,000,001円以上 2,200,000円
なお、「控除後の給与等の金額の表」で給与所得の金額を求めるため、上記の計算とは異なる場合があります(国税庁「給与所得者と税 給与所得の金額の計算 給与所得控除額(平成30年分)」参照)
年収1000万円ジャストなら「収入金額×10%+120万円」に当てはまるため、給与所得控除は「1000万円×10%+120万円=220万円」です。
社会保険料の控除
社会保険料の料率や対象金額は、勤務先や住んでいる地域により異なります。参考例を挙げると、以下の通りです。
各社会保険料の料率は、厚生年金が9.15%、健康保険4.95%、雇用保険0.30%となっており、合計で14.40%。この料率で計算すると、社会保険料控除額は「1000万円×14.4%= 144万円」となります。
(参考:年収1000万の手取りはいくら?所得税と住民税の計算方法|お金のカタチ)
課税所得の計算
次に、年収の1000万円から先ほど求めた3つの控除を引きます。
【住民税に対する課税所得】
1000万円-(所得税の基礎控除38万円、給与所得控除220万円、社会保険料控除144万円)=598万円
【所得税に対する課税所得】
1000万円-(住民税の基礎控除33万円、給与所得控除220万円、社会保険料控除144万円)= 603万円
それぞれの金額が、年収1000万円に対する課税所得となります。
所得税額と住民税額、そして手取り収入額の計算
次に所得税額と住民税額を算出し、手取り収入額を求めます。
所得税:課税所得598万円 × 20% - 控除額42.75万円 = 76.85万円
住民税:課税所得603万円 × 10% + 均等割5000円 - 調整控除2500円 = 60.55万円
つまり、所得税額と住民税額の合計は137.4万円(所得税額76.85万円 + 住民税額60.55万円)となります。
この合計税額と社会保険料を給与所得から差し引くと、手取り給料は下記の通りです。
年収1000万円の手取り給料:1000万円 - 所得税・住民税137.4万円 - 社会保険料144万円 = 718.6万円
年収1000万円の手取り収入額は約720万円。課税率はおよそ28%弱という結果でした。なお、配偶者やお子さんの有無、加入している保険などによって結果は異なります。
基礎控除の引き上げと関係がある?
先ほどの計算でも登場した「基礎控除」。実は、2020年から所得税の基礎控除の引き上げが決定しています。
年収1000万円の場合、一律38万円だった基礎控除は48万円に引き上げられます。これにより、減税を受けることができます。なお、年間所得が2400万円を超える方は「引き下げ」の対象になり、増税となります。
貯金1000万と年収1000万はどちらかが良いのか
「貯金1000万円」と「年収1000万」、どちらも魅力的な数字です。とはいえ、貯金1000万円でも住宅ローンが3000万円なら、金融資産があって余裕があるとは言えません。
また、金融機関の預貯金の利子は少ない現状。貯金1000万円で生活をまかなうには、リスク性資産にかえて運用する必要がありそうです。ただし、1000万円を年間20%で運用しても、超過収益は200万円。利益確定後は税金も差し引かれるため、これだけで生活するのは困難でしょう。
もちろん年収1000万円でも、家庭の状況によっては老後資金の捻出に苦労するケースもあります。確実に「こちらがいい」とは断定できませんが、どちらにせよ暮らしを安定するためには「年収アップで貯蓄を増やす」「節約して余剰資金を貯蓄に」という対策が重要です。
まとめ
年収1000万円でも、手取りは約720万円。みなさんはどう感じたでしょうか。所得税の基礎控除が引き上げになることで恩恵を受ける一方、同時に行われる給与所得控除の引き下げにも注意しておきましょう。
できるだけ節税対策をするには、個人型確定拠出年金iDeCoへの加入なども視野に入れておくのもいいですね。
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