「60歳で老後に必要な貯蓄は6000万円」は本当か
LIMO / 2019年3月16日 17時0分
「60歳で老後に必要な貯蓄は6000万円」は本当か
いわゆる「高齢化社会」に突入し、夫婦二人で安定した老後を過ごすためには、どのくらいの老後貯蓄を用意しておけばよいのでしょうか。「6000万円は必要だ」と言われることもありますが、本当にそれだけの貯蓄を蓄えることができるのか、少し不安になってしまいます。今回は、安定した生活のための老後貯蓄がいくら必要なのか、またその貯蓄方法も一緒に考えてみましょう。
老後貯蓄が6000万円必要な背景とは
生命保険文化センターが公表した夫婦二人で老後生活を送る上での「最低日常生活費」は、平均で22.6万円とされています。
ちなみに、この調査はサンプル数が4056となっており、調査対象は18から69歳の男女とされています。
さて、65歳で定年退職し90歳まで生きた場合には、どのくらいの生活費がかかることになるのでしょうか。
計算は以下のようになります。
22.6万円×12ヵ月×25年=6780万円
これが、「老後には約6000万円程度の貯蓄が必要」という説の背景ではないでしょうか。
ゆとりある老後には1億円必要か?
もっとも、先の調査では、「老後のゆとりのための上乗せ額」という数字も発表されており、その平均は12.8万円となっています。
この上乗せ費用を加味して、老後に必要な貯蓄額を計算すると、以下のようになります。
35.4万円×12ヶ月×25年=1億620万円
ゆとりある生活を前提とすると老後資金を1億円以上も用意しなければならないということになります。
6000万円説も1億円説も年金収入を加味していない
諸条件を仮定し、ここまで老後資金の計算をしてきました。
しかし、人によって定年退職する年齢も異なるでしょうし、何歳まで生きるかも異なります。
また、年金収入もこれまでの就業状況などにより異なります。
老後必要になる貯蓄額を割り出すためには、次の要因を考慮する必要があります。
考慮すべき点①:何歳で定年退職するのか
考慮すべき点②:退職金の有無と金額
考慮すべき点③:公的年金はいくらで、いつからもらえるのか
考慮すべき点④:定年退職の時点でいくらの貯蓄があるのか
考慮すべき点⑤:定年退職後の収入の有無(非正規雇用で働くなど)
たとえば、退職金がなく公的年金が国民年金という人の場合は、より多くの老後資金を前もって貯蓄しなくてはなりません。
手取りの20%を貯めるといくらになるのか
貯蓄額の目標として収入の20%が挙げられることがあります。
20歳から65歳までの45年間働き、平均の手取り給与が650万円あったとしましょう(そもそも、20歳からはたらいていないとか、そんなに高い給与水準は考えられないという指摘もあるでしょう)。
その貯蓄額はいくらとなるでしょうか。
650万×20%×45年=5850万円
これでも先に見た6000万円に到達しません。6000万円を貯蓄するということがいかに難しいかお分かりだと思います。
もっとも、資産運用をしていたとして、利回りが反映されていないなどの指摘もあるでしょうが、仮に毎年一定金額を蓄えても6000万円には程遠いということが分かります。
また、人生のライフイベント、たとえば結婚や出産、子育て等での出費も考えると、よほどの年収がないかぎり貯蓄額6000万円は難しい数字だということが分かります
時間を味方につけること、そしてリスクをとること
では、どのように老後貯蓄を増やしていったらいいのでしょうか。
まずは、財形貯蓄や定期預金などを利用して貯蓄するしくみを作り、ある程度の金額に達したら、投資信託などを利用して貯蓄を増やすことを考えましょう。
低金利の状況で、ただ預金しているだけでは貯蓄を増やすことはできません。まずは、リスクが少ない商品に長期で投資し、着実に貯蓄を増やすことを考えます。
より多くの老後貯蓄が必要だと考えられる人の場合は、NISAやiDeCoなどの非課税枠を利用して将来の年金額を増やしておくと安心です。
そして、NISAやiDeCoの枠以上の投資については、アクティブファンドを活用するとよいでしょう。
インデックスファンドはアクティブファンドの多くに負けないというのは事実ですが、一方で、「インデックスファンドは信託報酬の分だけインデックスに負ける」というのも原則です。
自分が気に入ったインデックスが見つかったのであれば、そのインデックスをベンチマークにしているリスクがコントロールされたファンドを探すのでもよいですし、もともとリスク量をコントロールしているバランス方型ファンドもあります。
まとめにかえて
老後に必要な貯蓄額を考えてみましたが、ご自分に必要な老後貯蓄額を割り出すことができましたか。
夫婦二人が安心して過ごすために必要な老後貯蓄は人によって異なります。
公的年額や退職金などを考慮した必要貯蓄額を割り出しましょう。低リスクで確実に運用益を得るためにも、早めに取り組みを始めることをおすすめします。
【参考文献】
生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査《速報版》」
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