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『ボヘラプ』を超えるヒットが出にくくなる!? 26年ぶり映画料金値上げ

LIMO / 2019年3月22日 20時35分

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『ボヘラプ』を超えるヒットが出にくくなる!? 26年ぶり映画料金値上げ

『ボヘミアン・ラプソディ』が驚異のロングラン大ヒット

英国と米国に続き、昨年11月9日に公開された映画『ボヘミアン・ラプソディ』、既にご覧になった人も多いでしょう。伝説のロックバンド「クイーン(Queen)」のリードボーカルで、1991年にエイズで亡くなったフレディ・マーキュリーにスポットを当てたものです。史実や時間軸が実際とは異なる部分もありますが、日本でも驚異の大ヒット作品となっています。

実際、当作品は公開から19週間経ってもまだ多くの映画館で上映されています。普通、映画は公開から3~4週間で観客数が落ち込み、約2カ月(8~9週間)で上映終了となります。

どんなに長く上映しても3カ月ではないでしょうか。それどころか、1カ月程度で上映終了となる作品も珍しくありません。そのような中、5カ月近く上映している『ボヘミアン・ラプソディ』、まさしく異例と言っていいでしょう。

こうした『ボヘミアン・ラプソディ』の人気は、映画作品の“成績表”でもある興行収入にも表れています。公開以降の日本での興行収入は既に125億円を突破しました(3月18日現在)。この数字は、2017年に公開された『美女と野獣』を上回り、音楽・ミュージカル映画の日本歴代興収ナンバーワンです。

また、日本で公開された歴代全作品でも第18位となっており、最終的には1993年公開の『ジュラシック・パーク』を抜いて第16位に浮上するのは確実と言われています。

歴代興行収入トップは『千と千尋の神隠し』の308億円

ちなみに、歴代興行収入の上位5作品は以下のようになっています(出所:CIMEMAランキング通信/2019年3月17日現在)。

第1位:『千と千尋の神隠し』(2001年) 308億円

第2位:『タイタニック』(1997年) 262億円

第3位:『アナと雪の女王』(2014年) 255億円

第4位:『君の名は。』(2016年) 250億円

第5位:『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001年) 203億円

第18位:『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年) 125億円 *上映中

こうして見ても、『ボヘミアン・ラプソディ』は“メガヒット作品”とまではいかなくとも、その一歩手前までの大ヒット作品であることは確かです。

2018年の年間興行収入は過去3番目の高水準

『ボヘミアン・ラプソディ』の興行収入は、2018年に公開された作品の中でも1位でした。こうしたボヘラプ効果に加え、『劇場版コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~』(93億円、歴代43位)、『名探偵コナン ゼロの執行人』(92億円、歴代46位)、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(81億円、歴代66位)などの大ヒット作品もあり、2018年の国内年間興行収入は約2,225億円で歴代第3位となりました(全作品の興行収入発表を開始した2000年以降)。

前年比では▲2.7%減となったものの、依然として高水準を維持しており、映画業界はかなり繁盛していると見ることができそうです。

高水準の興行収入の要因は?

この背景としては、もちろん、『ボヘミアン・ラプソディ』を始めとする人気作品が多く登場したことに加え、リピート客を増やそうとする業界の努力が見逃せません。現在、映画館では様々な割引サービスを実施しています。レディース・デーやレイトショーの割引はすっかり定着しました。また、ポイントカードシステムも広く普及しており、無料観劇など様々な特典を受けることができます。

さらに、IMAXデジタルシアター(注:日本は2009年から導入)に代表される映画館の“ハイテク化”も一因と言えそうです。こうした高性能上映による鑑賞は、家庭でのDVD鑑賞では決して味わえない臨場感があります。高性能上映の料金はやや高めに設定されていますが、それでも人気は衰えないのが実情のようです。

一昔前まで斜陽産業の代名詞だった映画産業

振り返ってみると、戦後の日本では、映画は庶民の娯楽として人気を博し、1950年代に黄金期を迎えました。ところが、カラーテレビの普及とともに客足が遠のき、一時は斜陽産業の代名詞として使われたのも事実です。

しかし、「完全復活」という言葉を使っていいのかわかりませんが、近年の高水準な興行収入実績を見ると、勢いを取り戻したと見てよさそうです。また、結果論になりますが、映画産業はその黄金期の成功体験にどっぷりと浸ってしまい、営業努力を怠ってきた可能性も否めません。

興行収入は既にピークアウトした可能性も

さて、ここまで書くと、映画業界の将来は明るいと思われるかもしれませんが、若干不安な兆候も見え始めています。

まず、前述した高水準の興行収入ですが、実は2016年をピークに減り始めており、2017年は前年比▲2.9%減、そして2018年は同▲2.7%減でした。この減少率は、大幅減少ではありませんが、決して小さくもありません。その理由は様々あると思われますが、相応のヒット作品が出ていることを勘案すると、消費者の節約傾向が一因と考えられます。

TOHOシネマズが26年ぶりの値上げ実施

そして、3月18日、大手の一角であるTOHOシネマズが映画鑑賞料金の値上げを発表しました。

アルバイト人件費などの運営コストの増加を理由に、一般料金を現在の1,800円から1,900円へ+100円値上げされ、その他の割引サービスも概ね+100円高くなります(実施日は6月1日)。なお、今回の一般料金の値上げは約26年ぶりとのことですが、今後はイオンシネマなど他社も追随するのは間違いないと思われます。

見方を変えれば、26年間も料金が据え置きだったことは称賛に値するのかもしれません。しかし、10月から予定されている消費増税により個人消費の落ち込みが懸念される中、今回の値上げの影響は決して皆無ではないでしょう。“たかが100円、されど100円”。映画が庶民の娯楽であるならばなおさら、その影響が気がかりです。

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