貯蓄に見る「持てる世代」と「持たざる世代」、その差はどのくらい?
LIMO / 2019年3月27日 19時45分
貯蓄に見る「持てる世代」と「持たざる世代」、その差はどのくらい?
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成29年(2017年)平均結果- (二人以上の世帯)(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html)」(2018年5月発表)によると、2017年平均の1世帯あたりの貯蓄現在高の平均値は1812万円となっています。
しかし、“我が家の貯蓄はそんなに多くない“というケースが多いかもしれません。平均値の場合、貯蓄の非常に多い世帯によって引き上げられてしまうこともあるので注意が必要です。そこで中央値(すべての数値を小さい順あるいは大きい順に並べたときにちょうど真ん中にくる値)を見てみると、以下のようになっています。
貯蓄保有世帯の中央値:1074万円
貯蓄「0」世帯を含めた中央値:1016万円(参考値)
ちなみに、貯蓄現在高を100万円ごとの階級別に区分した世帯数の分布を見ると(図表参照)、平均値の1812万円を下回る世帯が約3分の2(67%)を占めています。つまり、貯蓄現在高の低い方に偏っているというわけです。
なお、この調査における「貯蓄」には、預貯金(普通預金・定期預金など)のほかに有価証券(株式、債券、投資信託など)や積立型の生命保険や個人年金などが含まれています(公的年金や企業年金は含まず)。
貯蓄現在高と負債現在高を世代別に見ると?
次に、二人以上の世帯における貯蓄現在高と負債現在高の平均を世代別に見ていきます。
世代別の貯蓄現在高
世代別の貯蓄現在高の平均は以下の通りです。60代以上の貯蓄額が多いことがわかります。
40歳未満:602万円
40〜49歳:1074万円
50〜59歳:1699万円
60〜69歳:2382万円
70歳以上:2385万円
世代別の負債現在高
一方、世代別の負債現在高の平均は以下の通りです。貯蓄現在高の傾向とは逆に、40代以下の負債が大きいことがわかります。
40歳未満:1123万円
40〜49歳:1055万円
50〜59歳:617万円
60〜69歳:205万円
70歳以上:121万円
40歳未満の負債額は増加している
上記のように、40歳未満の世帯の貯蓄現在高は602万円と、シニア世代の4分の1程度しかありません。また、40歳未満の現在負債高は1123万円と貯蓄現在高の602万円を大きく上回っています。しかも、過去10年で貯蓄額には大きな変化はありませんが、負債額は10年間で365万円も上昇しているのです。
少子高齢化に伴い、社会保険料はジワジワと値上がりを続けるほか、子育て世帯では子どもにかかる教育費の増大も大きな問題です。平成23年~24年度に16歳未満の子どもの扶養控除が廃止され、負担が大きく増えた家庭もあります。
シニア世代のような確約された生涯賃金や豊かな退職金を望めない現代の若い世代。世帯別貯蓄額にも「持つもの」と「持たざるもの」に分かれている現状が如実に表れていると言えるでしょう。
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