日本の夫婦に「致命的に足りない」もの。家事・育児協力の前に…
LIMO / 2019年3月31日 18時20分
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日本の夫婦に「致命的に足りない」もの。家事・育児協力の前に…
「私たち」の子ども。「私たち」の家。それなのに、なぜか家庭の中では「私」ばかりが手を動かし、育児に不安を抱き、仕事へのエネルギーが削がれている……。共働き家庭が増加する今、出産後に働き続ける選択をして年月を重ねた女性の中には、こんな風に徐々に燃え尽き始めている女性が少なくありません。
理由はこれまで様々な記事で言い尽くされているのでそこはサラリと触れたいと思いますが、やはりその原因のひとつが男性の家事、育児の参加率の低さではないでしょうか。
家事に疲れ、働くことにも疲れ始めた女性たち
リンナイ株式会社が、日本、韓国、アメリカ、ドイツ、デンマークの5か国で30~49歳の夫婦共働きの男女500人(各国100人)に調査した結果からは、あらためて、日本の男性の家事参加率の低さが浮き彫りになっています。
「配偶者(パートナー)と家事を分担していますか?」という問いでは、日本が5か国中最下位という結果になり、女性側に家事負担が大きく偏っています。
【家事分担している夫婦の割合】
1位:アメリカ(93.0%)
2位:韓国(87.0%)
3位:デンマーク(84.0%)
4位:ドイツ(77.0%)
5位:日本(56.0%)
今から4年前、政府が「一億総活躍」という言葉を発表し、性別や年齢に関わらず、全ての人が職場、地域、家庭で輝く社会の実現を目指す方針が打ち出されました。「女性活用」という言葉が物議を呼び、「女性活躍」とういう言葉に置き換えられていったのは、この頃です。
女性雑誌では、2010年代初頭は「ワーキングマザー」「ワーママ」「リーマム」といった言葉とともに、母親が働くことで得られるメリットを啓蒙する企画が多数掲載されていました。
お金、社会貢献、趣味、やりがいなど、人によって働く目的は様々ですが、かつての「女性は家庭を守る」から、「働くことは一様に美しい」へ。そんな価値観の転換に戸惑いながら、共働き家庭は増え続けています。
ところが、たとえ家族の理解を得て「働く」ということが叶ったとしても、キャリアアップの土台は職場だけでなく、家庭でも整備されていないのが実情です。
残業のない仕事から帰ると、たくさんの家事と子どものケアが1人の肩にのしかかる日々を過ごし、「子どもが成長すればラクになる」と自分を励まして共働きを続けてきたものの、ある程度成長してみたら「むしろ、思春期こそ親のサポートが大切と気づいた」という悲鳴さえ聞こえてきます。
一方、組織で管理職に就く男性も、上の世代の上司からは「会社への忠誠心」を、妻からは「家庭への協力」を求められ、引き裂かれるような思いをしている人が多いかもしれません。
とはいえ、夫婦の一方が育児と家庭を大切だと感じているにも関わらず、もう一方がそれを軽視せざるをえなかったとき、それは「価値観の違い」となります。
学生の合唱の定番曲『あの素晴らしい愛をもう一度』では、かつて同じものを美しいと感じていたカップルの心が通わなくなっていく悲しさをうたっていますが、夫婦が同じものに価値を見いだせていないと感じたとき、夫婦仲に深刻な影響がもたらされることがあるのです。
そして、結果的に夫婦の「ある問題」につながっていきます。
5か国中最下位、日本は「夫婦の時間」が少ない
前出の調査では、日本が他の4か国と比較して、特に欧米より圧倒的に少なかったのが夫婦2人の時間でした。
【平日の1日あたりの夫婦の時間】
1位:デンマーク・・・3.19時間
2位:ドイツ・・・2.55時間
3位:アメリカ・・・2.45時間
4位:韓国・・・1.5時間
5位:日本・・・1.31時間
日本は日常生活において子どもに軸を置き、欧米は夫婦中心と言われることがあります。どちらがいいか悪いかという問題ではありませんが、それでも日本の夫婦は2人で過ごす時間が少ないのは事実。
周囲の環境が整えられないままの急速な共働き化が進んだことは、お互いに向き合う心の余裕と時間を夫婦から奪っていないでしょうか。
両親のいる家庭でも、母子家庭、父子家庭であっても、子どもを取り囲む大人同士の人間関係は子どもの心に大きな影響を与えます。子どもにとって大切な存在の大人たちが思いやりを欠いた関係を続けている記憶は、子どもの心に強く刻まれます。
大人が「面倒なこと」を押し付け合い、時間の奪い合いをする家庭にならないためには、男性側の労働時間の改善のみならず、一世代前には過小評価されていた「よき家庭人」となるための内面の意識の変化や、母親が子育てをある程度パートナーに解放することも大切なのかもしれません。
ちなみに、今回の調査で5か国全ての結果に共通していたのが、夫婦で家事分担しているしている人ほど、「配偶者が好き」と回答していた点でした。
【参考】世界5カ国の「共働き」に関する意識調査(リンナイ株式会社)(https://www.rinnai.co.jp/releases/2018/0208/)
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