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大学1年生を待ち構える「自己責任」と「トラブルの種」

LIMO / 2019年4月14日 20時20分

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大学1年生を待ち構える「自己責任」と「トラブルの種」

久留米大学商学部の塚崎公義教授が新入生に贈った「べからず集」の内容をご紹介します。

入学おめでとう。めでたい時に「べからず集」というのは場違いな気もするが、大学生活は、自由で楽しい一方で、気をつけるべきことも多いから、今日の話はしっかり覚えておいてほしい。

大学生には「自由と責任」がある

大学生は、経済的に養ってもらっているという意味では子供だが、「自由と責任がある」という意味では世間から大人として扱われることになる。高校時代との最大の違いが、自由と責任だ。

高校時代は、授業をサボると怒られたが、余程のことがなければ卒業させてもらえたはずだ。一方で、大学では講義をサボっても怒られないが、単位が足りなければ簡単に留年する。講義をサボる自由はあるが、サボった結果として留年したとしても、それは自己責任である。

高校時代、厳しく注意する先生は怖い先生、あまり注意しない先生は優しい先生だったはずだ。しかし、大学では叱ってくれる先生は優しい先生だ。普通の先生は講義をサボっても叱ってくれない。「この学生は単位が欲しくないのだろう」と思って放置しておくだけだ。

つまり、大学生は、「誰も叱ってくれないので、遊びたい自分を自分で我慢させて講義に出席させる」必要があるのだ。これは簡単なようで難しいことだ。自分で自分を我慢させるのは大人でも大変だ。ダイエットや禁煙に失敗している大人が多いことを考えれば、わかるだろう。頑張りたまえ。

「高校時代と同様に一度もサボらない」ことは、それほど難しくないかもしれないが、一度サボってしまうと、次からが大変だ。「一度サボっても叱られなかったのだから、もう一回くらい良いだろう」などと思い始めたら、底なしになる可能性があるからだ。気をつけたまえ。

3年後の話だが、就職活動も同様だ。就職活動をしない自由はあるが、その結果就職できずに一生非正規労働者として低い所得の不安定な仕事に就くことになったとしても、それは自己責任だ。

自分を成長させるべし

入学早々に就職活動の話をするのも気が引けるが、3年後に悲しい目に遭わないように、今のうちから3つのことを頑張っておこう。

第一が、自分を成長させることだ。「学生時代に頑張ったこと」を面接で聞かれた時に「ボーッと生きていました」と答えるようでは、採用されないだろう。「学生時代は○○に打ち込みました。その結果、以下のように成長することができました」と答える学生を企業が優先的に採用するからである。

そもそも大卒は高卒よりも給料が高い。それでも企業が大卒を採用するのは、大学時代に成長していることを期待するからである。「ボーッと暮らしていたので成長していません」と答えるようでは、「それなら君を採用せずに、高卒を安い給料で雇う」と言われてしまうだろう。

学生時代をボーッと生きる自由はあるが、その結果として就職活動に失敗したとしても、それは君の自己責任だ。そして、それが君の一生の間にもらえる給料を何千万円か減らすかもしれないが、それも自己責任だ。

残りの二つは、単位をしっかり取得することと、貯金をすることだ。4年生は就職活動で忙しいから、4年分の勉強を3年間で頑張って終えることと、就職活動中はアルバイトをしなくて良いように貯金をしておくことが大切だ。

これも、やらない自由があるが、そうなれば4年生になってライバルが就職活動に専念している時に講義やアルバイトに忙殺されることになるだろう。その結果は悲惨なものかもしれないが、それも自己責任だ。

詐欺などに注意

若者は詐欺師のターゲットとなりやすい。大金を持っているわけではないが、警戒感が薄いので楽に騙せるからだ。世の中に「必ず儲かる話」などないのだ、ということだけは、しっかり覚えておいてほしい。おいしそうな儲け話を耳にしたら、契約する前に学生課に相談すること。「前にも同じ話に騙された学生がいたよ」と教えてくれるかもしれないから。

あるいは、188番に電話をしても良いだろう。これは「消費者ホットライン」と呼ばれるもので、金に関するトラブルなどの際に電話をすると、身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を紹介してくれる、頼もしい存在だ。番号は「イヤや」と覚えておこう。

詐欺以外にも、気をつけることは多数ある。たとえば、マルチ商法には手を出さない方が良いだろう。マルチ商法とは、ある商品の販売員となり、販売すると手数料が入り、加えて友人知人等を販売員として勧誘すると売主からキャッシュバックを得られる、という制度だ。

制度自体は問題ないのだが、販売員になるための入会金が必要で、それが回収できない場合も多いと聞いている。入会金などを回収するために、友人知人を強引に勧誘して販売員とする人もいるようだが、そうなると人間関係が壊れてしまい、失うものが大きすぎる。

デート商法にも要注意だ。高額商品を買わせる目的で異性に接近して親しくなり、プレゼントをおねだりする輩がいるのだ。相手は当然に意図を隠しているから、学生が本気で恋愛感情を持ってしまう場合も多いようだ。

しかし、いくら好きであっても、不自然に高額なプレゼントをおねだりするような相手とは付き合わない方が良いだろう。仮にデート商法でなく、相手も本当に学生のことが好きだったとしても、不自然に高価なプレゼントをおねだりするような相手と付き合っていると幸せな人生が送れない可能性も高そうだから(笑)。

以上の他にも、金銭トラブルに巻き込まれる学生は数多いようだ。困ったことや怪しいと思ったことがあったら、迷わず学生課か「188」に相談してみよう。

インターネットに注意

インターネットは便利だが、便利なものは危険である。ナイフも自動車もインターネットも(笑)。

まず、偽の情報に注意だ。君たちが騙されることも問題だが、騙された君たちがその情報を「リツイート」したり「シェア」したりすると、君たちも加害者になってしまうかもしれないからだ。

今ひとつ注意が必要なのは、ネットに出た情報は誰が見るかわからない、ということだ。警察官に見られても、君を狙っているかもしれない犯罪者に見られても、親や先生に見られても、就職試験の面接官に見られても、構わないような情報だけをネットにアップしよう。

孤独にならないように

高校時代は、いつも同じメンバーが同じ部屋で授業を受けていたので、友達が作りやすかったが、大学はそうではない。履修する科目が異なると、学籍番号が隣であっても滅多に会わないという可能性だってある。したがって、努力しないと友達ができないかもしれない。

友達ができると、楽しい大学生活が送れる、というだけではない。様々な情報が得られることも大きなメリットだ。安くておいしい店を探すことも、自分一人では容易ではない。どの店の看板にも安くておいしいと書いてあるからだ。そんな時には、友人に「君が行ったことがある店で安くておいしいところがあったら、一緒に行こう」と誘えば良いのだ。

履修科目の登録に際しても、「講義が面白い先生」「単位をとるのが非常に大変な科目」などの情報は、大学の公式書類には載っていないから、友人に聞くのが良かろう。お互いに知っている情報を交換すれば、お互いのメリットになるのだから。

就職活動の際にも、どの会社で何の質問をされたか、どこの会社がブラック企業か、といった情報は、会社の公式文書からは得られないので、友達と情報交換することは重要だ。

そこで、友達を作ろうという話になるわけだが、友達を作るのが一番簡単なのは入学直後だ、ということをしっかり認識して頑張ってほしい。入学直後は、他の新入生たちも友達を作りたがっているからだ。

何週間かすると、友達のグループが多数できるはずだ。その中に後から加わるよりも、最初にグループができる時に参加する方が簡単だし、遊びに行く場所や曜日の希望も述べることができるはずだ。

色々話したが、あらためて入学おめでとう。君たちが楽しくも充実した学生生活を送ることを祈っている。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事はこちらから(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E5%A1%9A%E5%B4%8E%20%E5%85%AC%E7%BE%A9)>>

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